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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第1章 何かがおかしい。 髪型以外はどこにでもいる普通の高校生、ツンツン頭の上条当麻はそんなことを考えながら下校の途に付いていた。 いや、日常は何も変わりない。 出席日数が足りないので下校時間ぎりぎりの補習と山ほどの宿題が出されるのはいつものことだ。 登校途中に溝に足を突っ込んだり、空き缶を踏みつぶして転んだり、もまあ上条にとってはいつものことだ。 授業中、馬鹿話をして騒いで、小萌先生を泣かせたり、クラス中に敵意の視線をむけられたり、吹寄整理の鉄拳制裁を土御門元晴と青髪ピアス共々頂戴するのもいつものことだ。 出がけに謎の同居人、銀髪碧眼の白いシスター・インデックスがぶーぶー言ってそれをなだめるのもいつものことだ。 しかし、何かがおかしい。 確証はないが上条当麻は漠然とそんなことを考えていた。 自分の日常も、町の風景も、冬の始まりなので気温の低さも。 どこも何も変わらないのに、どこか上条は居心地の悪さを感じていた。 例えるなら、まったく知らない世界に一人、放り込まれた、そんな感じ。 まるで、自分の居場所を探すのに困る、という足が地に付いていない感に支配されていた。 「……んなわけねえじゃねえか」 ぽつりと呟く。 もっとも、本人は気付かなかったようだが苦笑にすらならない神妙な面持ちで。 もちろん、上条の思いはもっともだ。 自分の日常も、周りの交友関係も、すべてが普段どおりなのに、今の居心地に違和感を感じる上条の方がどうかしているのだ。 ぴたり。 上条は足を止める。 場所は第七学区にある、いい加減、取り変えるか直すかしようぜ、と言いたくなる自販機がある公園。 かつて、上条の二千円札と常盤台のエースの万札を呑み込んだ自販機をぼんやりと眺めながら。 ふと、上条は条件反射的に辺りをキョロキョロ見回した。 なぜなら、ここは描写されるたびに学園都市に七人しかいないレベル5の第3位であるビリビリ中学生と出くわす場所で、出くわしたが最後、碌な目にあったことない場所だからだ。 「……ふぅ……今日はいねえな……」 どこか、安堵のため息を吐く上条。 が。 「――――!!」 ハッとして顔を上げる。 (どういうことだ…………) 自販機を眺めながら上条は考えた。 ずっと感じていた違和感が。 常盤台のエースにしてレベル5の第3位、ビリビリ中学生こと御坂美琴のことを考えた途端。 ずっと感じていた違和感が、より一層強さを増したからだ。 「お帰りなさいなんだよ、とうま」 「おう、ただいま」 冬は日が落ちるのが早い。 既に藍色に彩られた町並みの一角に建つ、上条が住む学生寮に戻ってきて、自室の扉を開けた途端、一緒に住んでる同居人、インデックスが三毛猫のスフィンクスを抱きながら出迎えてくれた。 「今日も遅かったね」 「ああ、毎日毎日補習と宿題。悪いけど今日もお前の相手はあんまりできねえぞ」 「むー」 「そんな顔するな。だいたい、この補習と宿題をこなさないと俺はこの町に居られなくなるか留年だ。正直、それは嫌なんだよ」 それは上条の偽らざる本音だった。 元より、『幻想殺し』という異能の力であればそれを全て打ち消してしまう右手の所為で、外の世界では居場所がなく、この町に来てできた友達の方がはるかに多い上条は、一生、この町で暮らしたいとさえ考え始めている。 ところで、『幸運』は『異能の力』に分類されるらしいが『不幸』は『異能の力』とは違うのだろうか。 まあ、それはともかく。 「さてと、今日は……ん?」 上条の携帯が音を奏で始めた。 即座に取り出して、着信の相手を見てみれば、思いっきり、顔が引きつったのが自分でも分かった。 そこに記された文字は『月詠小萌先生』 『上条ちゃん、馬鹿だから補習でーす』 というラブコールが脳内再生されて。 「あれ?」 ふと上条は違和感を抱いた。昼間も感じていた猛烈な違和感が。 特に御坂美琴のことを思い出した時に一番強烈だった違和感が。 (変だな……何の変哲もない、昨日までも使っていた携帯と同じなのに何で……) もっとも、上条はその答えに到達することなく。 予想通りの、担任からの「上条ちゃん、出席日数も兼ねてお休みの日も補修でーす」との誘いに乗る以外の答えはなかった。 電話の内容をインデックスに告げたところ、頭を齧り付かれたのもいつもの日常だ。 本来であればその身を癒すことに充てられるであろう休日の土曜日。 しかし、上条は平日と同じような時間まで補習に明け暮れて、まったく癒されることはなかった。体だけじゃなくて頭の中も。 冬なだけに陽が暮れるのは早い。 夏にこの道を歩いた時は夕暮れだったな。 などと思いながら、桟橋風に敷き詰められた公園の高台を歩く。上空ではテレビ付きの巨大な飛空船に新たなレベル5が誕生した、とのニュースが流れていたが、上条はそれをぼんやり眺めるだけだった。 (新しいレベル5ねぇ……) 学園都市は能力開発の町。得た能力の強さにレベル付けされていて。 無能力者【レベル0】、 低能力者【レベル1】、 異能力者【レベル2】、 強能力者【レベル3】、 大能力者【レベル4】、 そして、さらにその上に君臨するのが二三〇万人いる学園都市でも7人しかいない超能力者【レベル5】である。 上条は何人かのレベル5を知っているわけなのだが、これがまたデタラメ常識外れ、規格外にもほどがある、というレベルではなく、もはや『怪物』の域に達しているような連中ばかりだったりするのだ。ある意味、性格も含めて。 そのレベル5が新たに誕生した、ということらしい。8人目のレベル5が。 が、その横に記された文字と顔写真に一気に上条は画面に釘付けになった。 (ぶっ! 白井!? 白井黒子!? って、あの白井かよ!? さすが常盤台は違うな……一つの学校に三人目のレベル5かよ……) 上条は思わず顔を引きつらせた。 というのも知っているレベル5の内の二人も常盤台なのだが、第3位の御坂美琴、第5位の食蜂操祈の二人に結構酷い目に合わせれているので、『常盤台のレベル5』には正直言って、良い印象が無い。というか、むしろ、本来であれば学園都市の女の子のほとんどが憧れて、男の子のほとんどがお知り合いになりたい、むしろ親密になりたいと考える、お嬢様学校の常盤台のはずなのに、上条にとっては関わり合いたくない学校の一番トップと言っても過言ではなかった。 (はぁ……あいつの厄介さに拍車がかかるだけじゃねえだろうな……) そして上条は肩を落として帰路に着く。頭の中を明日の補習に対するうんざり感とげんなり感に切り替えて。 上条はその晩、夢を見ていた。 内容は、あの8月21日の操車場。 一方通行を絶対能力者【レベル6】に引き上げるための実験に終止符を打つため。 絶望の淵から死へと身を投げ出そうとしていた御坂美琴を引き上げるため。 殺されるためだけに生み出された妹達の運命を変えるため。 上条当麻は、幾多の戦いの中で、唯一、科学サイドでの戦いだったあの日の夢を見ていた。 しかし、内容は違っていた。 現実は、上条自身が一方通行に向かっていったはずなのに。 柵越しに眺めていたのが御坂美琴だったのに。 夢の中では御坂美琴が一方通行に立ち向かい、上条当麻はそれを眺めているだけだった。 もっとも、夢の中の美琴は一方通行を押していた。 当時の一方通行に太刀打ちできる存在など、それこそ、上条の右手のように一方通行の『能力』を無効化できない限りそれはあり得ないはずなのに、美琴はベクトル操作の攻略法でも見つけたのか、一方通行を押していた。 もちろん、それは夢の中なのだから、上条の願望が美琴に勝たせたいと思っているかもしれないことは否定できない。 だから、夢の中の上条は美琴を眺めるだけだった。 やがて手負いの一方通行が、対上条戦のときのように。 追い詰められた者の究極のインスピレーションが大気を操りプラズマを生成する。 そして、その輝きが強さを増し。 上条がまばゆい光に目がくらんだ瞬間―――― 次に見えたのは風呂場兼上条専用寝室の、バスルームの天井だった。 「はぁ……今日も補習、明日は授業と補習、んで宿題、か…………」 上条当麻は月曜日の朝のラッシュに乗り込むサラリーマンのように肩をがっくり落として『帰宅の途』に付いていた。 「小萌先生の気持ちは本当にありがたいし、助かるんだけど、頭で納得するのと心で納得するのは違うもんなんだよなぁ…………」 とぼとぼと歩く上条はいつもの公園に入っていく。 いつも、御坂美琴と出くわすことが多い自販機のある公園に。 別に上条は美琴に会いたいとか、そんなつもりはさらさらない。というか、そんな考えは今この場の上条には微塵もない。 ただただ、喉の渇きを潤す水分補給のためである。 冬だろうと、一日中、暖房が利いた教室に居れば、当然、喉が渇く。帰り際に月詠小萌がムサシノ牛乳のパックを飲みながら運転していた姿を見たときに殺意すら芽生えるほどに。 自販機の前に立ち、後ろポケットから財布を取り出して、 カパッと開けてみれば、そこにあったのは『二千円札』のみ。しかも硬貨も無い。 上条は自分の顔が思いっきり引きつったが分かった。 「あー……あの夢は遠い意味で予知無だったのかなぁー…………」 などと呟きながら、天を仰いでみても別に財布の中身の『二千円札』は硬貨にも千円札にも両替されることはなかった。 「…………また呑まれるのかね……俺の不幸スキルを思うとあり得ない話じゃないよなぁ…………」 当然、決心はつかない。 過去と同じ過ちを繰り返すのは御免被りたい。 さりとて、喉の渇きは潤したい。 財布の中身と上空とを交互に眺めつつ逡巡する上条当麻は傍から見れば、相当間抜けに見えることだろう。 もっとも不幸中の幸いと言おうか。 既に夜が訪れている上に、冬の公園では上条以外に訪れている者はそうは、というか、まずいない。 いるとすれば、それは上条当麻と同じ理由に他ならない。 つまりは、 「ちょっとよろしいですの? 買われないのであれば、わたくしに自販機をお譲り願いたいのですが」 言って、上条の肩に手をポンと乗せた常盤台中学のコートに身を包んだツインテールの少女もまた、喉が渇いているということである。 「あ、ああ、すまん。先に買ってくれ」 「御配慮感謝いたします」 思わず順番を譲った上条に、ツインテールの少女は一礼してから、自販機に硬貨を滑らせる。 押したボタンは『ヤシの実ソーダ』だった。 冬なのに冷たいものを欲するとはなかなかチャレンジャーな少女である。 「って、白井じゃねえか!? どうしてお前、こんなところに!?」 「えっ!?」 相手を見とめて上条当麻が素っ頓狂な声をあげると、苗字を呼ばれたツインテールの少女=白井黒子もまた、予期せぬ出来事に言葉を失う。なぜなら白井は今この場で顔見知りに会うとは思ってもみなかったからだ。 普段であればその特徴的な髪型で気付いたかもしれないが、今日は、たまたま上条は毛糸の帽子を嵌めていた。 そうなれば、如何に上条当麻と言えど、姿形はどこにでもいる一介の高校生と何ら変わりはない。 だから、白井は、後ろ姿からでは上条に気付かなかったのだ。 同時に上条はハッとした。 白井黒子の姿がここにあるということは。 当然、白井が尊敬し、崇拝し、寵愛する御坂美琴もまた近くに居るということになる、と。 即座にキョロキョロ辺りを見渡す。とっても焦った表情で。 今は関わり合いたくない。絶対に面倒なことになること請け合いだからだ。しかも今の上条は心底疲れきっている。できるなら、どころか是が非でも御坂美琴とは邂逅を果たしたくはない。 「…………何をなさってますの?」 そんな上条の行動に我に返った白井は、どこかジト目で問いかけた。 「い、いや……お前がここにいるってことは近くに御坂がいるんじゃないか、って…………」 周りに視線を這わせながら。 白井を見ることなく、どこかあたふたしながら答える上条。 刹那、胸倉を掴まれた。 グイッと無理矢理、顔を正面にひねらされた。 相手は当然、白井黒子。 「し、白井…………?」 上条が、どこか戸惑って呼びかける。 しかし、対する白井黒子はいつの間にか、濃くした前髪の影に瞳を隠していた。 上条の胸倉を掴む手が、どこかわなわな震えていた。 「…………お姉さまを知っておいでですの…………?」 「え…………?」 白井の様子が尋常ではない。 と、同時に上条には白井の質問の意味が分からない。 白井は顔を上げた。どこか驚嘆と愕然が入り乱れた瞳で上条を睨みつけた。 「もう一度、お聞きいたします…………どうして、あなたがお姉さまを知っておいでですの…………?」 「ど、どうして…………って…………」 「確かにわたくしとあなたには面識がございますわ…………一度だけでございますけれども、九月一日の地下街テロ事件の際に、あなたにテロリスト逮捕を協力していただきましたから…………でも、そのときのあなたは別段、お姉さまのことを仰らなかったではありませんか…………なのにどうして今になって…………お姉さまのことを口にしましたの…………?」 「は? ちょっと待て白井。俺とお前の顔合わせはそれ一回だって? んなわけねえだろ」 「…………どういう意味ですの?」 「だって、俺とお前が初めて会ったのは、御坂と俺がそこのベンチに腰かけていた時だったじゃねえか。その次の日の夜にお前らの部屋を訪ねたし、あと他にも、倒壊寸前のビルからお前を助け出したし、大覇星祭で車椅子に乗っていたお前を見ているし、御坂と携帯の契約した現場でお前に後頭部を思いっきり蹴とばされたことも――――」 「…………あなたはいったい何を仰っておられますの? 今、あなたが語られた邂逅にわたくしは何一つ覚えがありませんわよ」 上条を見る白井の瞳は、先ほどの切羽詰まって睨みつけてきたものから、不審者をみる猜疑心に満ちたものに変わっていた。 が、上条からすれば、白井のその視線の方が気に入らなかった。 「はぁ!? 何言ってやがる! これまで、お前ら二人には散々な目に合わされたんだぞ俺は! 都合よく忘れてんじゃねえよ!!」 「…………『お前ら二人』? それこそ意味が分かりませんの。わたくしはともかくお姉さまとあなたに面識があったとは思えないのですが?」 「て、てめえ……あの日の夜にお前が俺に言ったこと忘れたのか……?」 「どの夜のことですの? わたくしにはまったく身に覚えがございませんわ」 上条の剣幕詰めよりもものともせず、白井は腕組みをしてつーんとそっぽを向き、にべもなく言い返す。 「こ、この野郎…………人のことを『あの馬鹿さん』と評したり、御坂が事あるごとに俺のことを悪く言っていたとか散々言ったくせに…………」 「何ですって――――!!」 衝撃が走る白井黒子。 「どうだ? 思い出したか?」 「違いますわ…………いえ、そうではなく…………」 「なんだよ?」 「もしかして…………あなたがお姉さまがよく仰っておられた殿方ですの…………?」 先ほどまでとは急転直下。 白井黒子の声は震えていた。 まるで、待ち焦がれていた相手に会えた驚き。 しかし、その感情は歓喜ではなく衝撃。 「ふっ、どうやら思い出したようだな。あの日、8月21日の夜のことを」 得意げに語る上条は気付かない。 もっとも、すぐに気付かされる。 「どうして……………」 白井の声が嗚咽を含んでいた。 「お、おい…………?」 上条が戸惑いの声を漏らすと白井は上条の胸の中に、そっと倒れ込むように寄りかかった。 「――――どうして、今頃になって姿をお見せになりましたの!? どうして、あのとき、お姉さまの支えになってくれませんでしたの!?」 白井が声を上げた。 慟哭と言っても過言ではなかった。 今の今まで溜め込んでいた、抑え込んでいた嘆き、悲しみ、喪失の感情を上条が決壊させ、爆発させたのだ。 「待てよ! 俺にはお前の言ってることの方が意味が分からねえんだよ!」 上条が叫び返すと、白井は上条の胸の中で一瞬ビクッと震え、動きを止める。 「…………この期に及んで、まだそんなことを仰られますの…………?」 見上げてくる白井の瞳は涙目で。 しかし、上条を仇敵を見つめるような瞳で。 「どういうことだ?」 そんな白井の視線に迎撃されて、しかし、上条は神妙に親身に問いかけた。 対する白井黒子の答えは―――― 「…………お姉さまは…………御坂美琴お姉さまは…………あなたの仰った8月21日の夜に殺されてしまったのですわ…………」 聞いた瞬間、上条当麻は、自分自身を背景ごと協調反転させたような衝撃に支配され、確かに一瞬、時間が止まったのだった。 そして思い出した。 昨夜、月詠小萌からの連絡時に、その手にあった携帯電話に違和感を抱いたその理由。 九月に美琴とペア契約した際に特典として付いてきた、 ゲコ太のストラップが、紐が切れてどこかに落としたとかではなく、存在そのものが最初から無かったかのごとく消失していたことを。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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たむたむす~る関連動画 テクニック動画 モデル構造解説動画 こねこね動画 ネタ動画 全画面で見たい場合は動画をクリックして動画ページへ行くか他の外部プレイヤーサイトをお使いください。 テクニック編 トップへ▲ たむたむ☆こうざ アホ毛分離改訂 nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm15327295 四角変形ツールを使った頂点削除とそれを応用した部分選択の解説があります。 使いどころの多いテクニックですので是非マスターしましょう。▲使用す~る:HCT版 たむたむ☆こうざ カチューシャ編 nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm15308790 髪に隠れて余っている頭皮を使ってアクセサリを作成します。 す~るver.4以降ではアクセサリ(頭装備)を自由にカスタム出来るようになったのであまり使わないかもしれません。▲使用す~る:HCT版 たむたむ☆こうざ いいとこどり編 nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm15364911 他のユーザーが作成したキャラの部品をいいとこどりして新しい嫁をかすたむかすたむぅ。 顔のパーツ毎のセーブ・ロードの解説です。▲使用す~る:HCT版 モデル構造解説等 トップへ▲ たむたむ☆こうざ 目編 nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm15410805 目編となっていますが顔の内部構造なんかも解説しています。▲使用す~る:HCT版 たむたむす~る 目の動き解説 nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm15438245 表情による目の変化を構造と共に解説しています。 目のかすたむで通常表情はOKだが表情を変えると目が変になってしまうという方は必見。▲使用す~る:HCT版 こねこね動画 トップへ▲ 【HCT】5分でかすたむされたフランちゃんと5分ちょいで俺好みにす~る nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm15463767 簡単な顔、髪かすたむで既存モデルからより性格きつそうな女の子にかすたむ。簡単な解説あり。5分と言ってますが8分程度。▲使用す~る:HCT版 たむたむす~るぴゅあ(全年齢版)で女の子こねこね nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm17620898 たむたむす~るver.4を使用して衣装、髪、顔かすたむを一通りこなしてキャラ作成をしています。解説なし。15分程度。▲使用す~る:ぴゅあ(全年齢版) ネタ動画 トップへ▲ [実況]理想の彼女を作ろうとしたのに待っていたのは絶望だった件 nicozonで見る http //www.nicovideo.jp/watch/sm17189675 ページ編集者のお気に入りたむたむす~るを初めて触る者なら誰でも一度は必ず通…いやねぇよ!▲使用す~る:らぶギア体験版 コメント 一応、らぶギア用とか、す~るのバージョンとか明記した方がいいと思います。 - ぼーぼぼ 2012-04-28 15 11 50 細かい使用バージョンは動画を作った人じゃないと分からない、今のとこver4の動画が1本だけでこれにVer表記しておけば、これ以外はVer4使ってる人も、らぶギア以前のを使ってる人も役立つ情報で特に困ることないと思うんだけど。一応付けてみたけど、出来れば必要な理由(らぶギア版のす~るを使っている人がVer4動画を見ても動画にある機能がないと困惑してしまうかも等)とかもちょろっと書いてもらえると助かります、書き方もそれに添う形に出来ると思うのでよろしく - 名無しさん 2012-04-28 16 05 56 名前
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前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第10章 シャリシャリ 上条の耳に涼しい音が届いてきた。 暗闇の中、浮上しつつある意識の中で上条はその音を聞きながら、ぼんやりと、その感覚がどこか心地よく、しかしまだまどろみに身を委ねたい相反する気持ちが体の中を駆け巡っていた。 夢の中で目を覚ました。 そんな感じだった。 しかし、上条が最初に見えたものは白い天井。そこは自室でもバスルームでもなかったが、ある意味、見慣れた天井でもあった。 次いで、視線を横に向けてみる。 七月二十九日は開いていて、白いカーテンが外からの風にゆらゆらあおられていたが、今は冬だ。窓は閉め切られて、カーテンは両脇に留められていた。 「やっとお目覚めでございますの? ずいぶん、深い眠りでしたわね」 窓の反対側から、静かに、何の感慨もなく聞こえてきた声の主へと首をねじって向ける。 声の主は、瞳を閉じているというのに、器用にも、椅子に座ってリンゴの皮をかつら剥きしていた。その細長い皮は切れることなく、太ももの上に置いてある皿へと巻き付きながら落ちていく。 「おはようございます、とでも言うべきでしょうか? もう夕方ではございますが」 言って、彼女は剥き終えたリンゴを、今度は別の皿に乗せて、その傍にあった茶色の袋の中からもう一つ、リンゴを取り出して剥き始める。 「白井…………」 上条は、なんとなく感慨深けに呼びかけた。 「何ですの?」 「ここは…………あのカエル顔の医者の病院なのか…………?」 「左様でございますわ」 「どうして俺はここにいる…………?」 「さあ? わたくしはお姉さまと上条さんのお連れの方に、上条さんの傍にいるよう、仰せつかったまでですわ。理由は存じ上げませんが、予想でよろしければお答えしますけど、それでよろしいでしょうか?」 片目を瞑り、なんとなく面白く無さそうな顔をしている白井黒子は上条に問いかける。 その視線の先は上条の頭を指していた。 上条が触ってみれば、そこには包帯が巻いてあった。 たまたま触れた先に傷口があったのか。頭の中でズキンと鳴り響いた。 「いや……それは別に……というか、なんとなく分かる……け、ど…………って、『お姉さま』!?」 何気なく呟いていた白井の言葉に反応する上条。 「どうされました?」 「ええっと、だな……白井、お前の言った『お姉さま』って誰のことだ…………?」 思わず、しどろもどろに問いかけていた。 「質問に意味が分かりかねますわ。わたくしがお姉さまとお呼びするのはこの世にただ一人しかおりませんの」 「…………てことは、それは…………『御坂美琴』のことか…………?」 「もちろんです――――と言いたいところですが、またどうして改めてお聞きになりますの?」 「え? あ、ああ……そのな、ちょっと悪い夢を見たんで、まだ夢と現実がごっちゃになってた」 「はぁ……まあ、起き抜けなんてそんなものですわ」 白井はため息を一つ吐いた。 同時に上条当麻は思った。 どうやら、世界は元に戻ったようだ、と。 まだ実感は湧かないが、今の白井の言葉と現在の自分への対応を鑑みると、『変えられた世界』ではない、ということはなんとなく感じられた。 とは言え、上条には別の疑問が浮かんだ。 確か、『遡行の儀式』では『現在の意識』と『過去の意識』を交換するので、過去に遡って歴史を変えてしまえば、その流れに飲み込まれ、現在の意識が『新しい過去の意識』の延長線上にある『元の記憶』は書き換えられてしまうはずなのに、なぜか、上条の記憶には、あの『インデックスが変革した世界』の記憶が残ってしまっていた。 それは自分だけなのか? 念のため、確かめてみよう。上条はそう思った。 「なあ、白井? お前のここ三日から四日ほどの記憶を教えてもらえないか?」 「また変わった質問ですわね。とは言え、何とお答えすればよいものか…………そもそも、わたくしのここ三日ほどの記憶を訊いたとしても、上条さんとは無関係かと思うのですが?」 「てことはなんだ。俺とお前は久しぶりに会ったってことか?」 「そうですわね。お姉さまの方は分かりかねますし、正直、分かりたくもありませんが、わたくしと上条さんに限るのであれば、もしかしたら九月三十日以来かもしれませんわ。って、ええい! 忌々しいことを思い出させるんじゃありませんの! ああ、今でも思い出すだけで悔しいったらありゃしませんわ! こともあろうにお姉さまとペア契約を上条さんが結ばれました日のことなど永遠に記憶の奥底に封じ込めておきたかったですのに!! って、痛っ!」 物腰穏やかに話が始まったと思ったら、何か嫌なことを思い出してしまったらしく、どんどんヒートアップしていった挙句、どうやら、誤って指を切ってしまったらしい。 刃物を使っているときは、余計なことを考えるとマズイ、といういい例だ。 「おいおい大丈夫かよ」 「大丈夫ですわ! と言うか、これはあなたの所為でございますのよ!」 「悪かった悪かった。それでいいから、ちょっと指出せよ」 「言っておきますが、指を舐めるなどという行為に走りましたら、ただじゃおきませんわよ。わたくしの白く柔らかい指先に舌を這わせていいのはお姉さまだけですの」 「…………絆創膏を貼るくらい、いいだろ?」 「まあ、それくらいなら」 言って、上条は近くにあった救急箱から取り出した細長いものをひらひらさせる。 白井は素直に指を差し出し、上条はそれを優しく巻いた。 「これでよし、と」 「ありがとうございますの」 しばし、二人沈黙。 「そういや、インデックスと御坂は?」 「インデックス? ああ、それがあのお連れの方のお名前ですのね。お姉さまとインデックスさんは二人で出掛けております。上条さんの着替えを取りに行っていますわ」 「え゛……何であの二人で…………?」 「ここに残るのをどちらにするかを揉めに揉めた結果が二人で行くことになったからですわ。もし、上条さんが目を覚まされても監視役を置いておけば、ふらりと消えることはない、そう考えたのでしょう。ですから、心底不本意ながらもわたくしが残っているのです。ああ! わたくしがお姉さまと一緒に行きたかったのに!」 間違いない。こいつは白井黒子だ。 上条当麻が知っている世界の方の『白井黒子』だ。 確かめるつもりでいたが、確かめる必要はなかった。このちょっとした会話で上条はそれを理解した。 それで安心した。同時にどこか寂しくなった あの、御坂美琴を失ったことを誰よりも嘆き悲しみ、己の存在さえ否定して、血まみれになって自分の命を振り絞ってまで、上条当麻に力を貸してくれたレベル5の白井黒子はもういないのだ。 「何ですの? その懐かしみの中に哀れみが垣間見えるような視線は? 別にあなたにわたくしの嗜好を否定される謂れはございませんわよ」 ジト目を向ける白井。 「いや、そんなつもりはねえよ。そんじゃま、あの二人をおとなしく待つとしますか」 言って、上条は再びベッドに横になった。それを見て、白井は傍に置いてあったカバンから一冊の書籍を取り出す。 しばし、二人の間を沈黙が支配した。 それは別段、居心地の悪さを感じるものではなかった。 特に上条は、そこに白井黒子が無傷で居ることが嬉しかった。 同時にやっぱり寂しくもなった。上条は窓に視線を向けて『あの世界』のことを反芻してみる。 御坂美琴はいないが、一方通行は前人未到のレベル6、白井黒子は八人目のレベル5、御坂妹は普通の少女として生きている。 そして、インデックスの立ち位置は変わらない。 そこから始まる物語もあったかもしれない。美琴に追い回されることも因縁をふっかけられることも厄介事を持ちかけられることもない日常だけは平穏の物語。 でも、と上条は思った。 きっと、そこには『自分』は居ないのだ、と。 今の上条自身はもう覚えていないが、それは『七月二十八日以前の上条当麻』に戻るだけで、御坂美琴を鬱陶しいとしか思っていなかった生活でしかないのだ。 美琴のいる世界と美琴のいない世界、上条にとってそのどちらが幸せだったのか。 上条にはもう解っている。 上条は『美琴がいる世界』こそが楽しかった。そう思えないなら、死にかけてまでやった上条の行為はすべて無駄になってしまう。 現在の上条当麻と御坂美琴の関係は『今の上条当麻』が創り上げたものだ。妹達の一件を機に、美琴と深く関わり合うようにしたのは『現在の自分自身』なのだ。 本人は気付いていないだろうが、『今の上条当麻』は『前の上条当麻』を初めて否定したのかもしれない。 しばらくして、御坂美琴とインデックスが何やら言い合いながら上条の病室に戻ってきて、そこにあった美琴の姿に思わず感極まった上条が美琴に抱きついてしまい、それに激怒した白井とインデックスによって、本来であれば目を覚ませば帰れるはずだったのに三日ほど入院が延びた、という間抜けな出来事があったのだが、そのおかげで、上条は今、消灯時間を迎えた病室を抜け出して夜の屋上に来ていた。昼間は頭の包帯しかなかったはずなのに、この時間になると頬にも絆創膏が張ってあるのはそういうわけだ。 ちなみに美琴と白井の帰り際、美琴だけを呼びとめて「御坂妹と今度一緒に遊びに行ってやってほしい」と耳打ちしたら、了承は得られたが、なぜか顔を真っ赤にした美琴に怒られてしまったという小話もあるのだが、まあ、美琴の怒りが何を意味しているのかに今の上条が到達することはないだろう。 消灯時間を過ぎていることもあり、学園都市は闇にすっぽり覆われいてた。吐く息も白い。上空を見上げてみれば星一つ瞬いていなかった。 しかし、上条はそんな上空を見上げて考えていた。 前の世界の、正確には『美琴のいない世界の記憶』が残っている理由を。 (――――この世界は二度、変革されている。『美琴のいない世界』に変革されて、それを『元に戻した世界』が『この世界』だ) 上条はハッとした。 (『だから』か? 『だから』、俺の記憶が残っているのか?) 通常、『遡行の儀式』は意識を飛ばして『現在』と『過去』の自分を入れ替えるものだ。ゆえに『過去』の延長線上にある『現在の意識』は、変革された『過去』に上書きされてしまうのは自明の理なのである。そして、『幻想殺し』でも意識に作用する『異能の力』を打ち消すことはできない。なぜなら『幻想殺し』は『意識』に触れることができないからだ。 しかし、である。『遡行の儀式』そのものであれば『幻想殺し』は有効なのだ。 上条当麻が時間遡行した八月二十日。 ステイルの炎の剣は『意識のみ』に作用するものだったのかもしれないが、意識を失う前に首筋に走った『衝撃』が『意識』ではなく『遡行の儀式下にあった状態』を打ち消したものだとしたら? 八月二十日の上条当麻の意識は『遡行の儀式』によって入れ替えられていたものだったので、『自身の右手』は作用しなかったのだが『幻想殺し』で、首筋、もっと細かく言えば、よくマンガなどで表現される『延髄辺りに手刀』で意識を失わせる行為ならば、『幻想殺し』によって『意識』を、もっと言えば『遡行の儀式下にある意識』を『打ち消すこと』が『可能』なのだ。ただし、『意識』は『異能の力』ではないので、『元の時間』に強制送還される。 そして、世界広しと言えど、『幻想殺し』という能力を持っている者など、上条当麻が知る限り『一人しか』いない。 つまり、上条の記憶が残っている理由とは。 「ふっ」 上条は小さく鼻で笑った。 (てことはなんだ? 確か今居る七人のレベル5からレベル6に到達可能と判断されたのは一方通行だけだったはずだし、この世界の一方通行はもうレベル6になるつもりなんてないだろうから、学園都市史上初の『レベル6』はあいつなのか?) しかも、樹形図の設計者がない今、『彼女』はカリキュラムでも幻想御手でもなく『自力』で『レベル6』に進化するのだ。 少し笑ったまま、上条は空を見上げた。 「すまねえな。正確な時間を忘れちまったんであてずっぽうに飛んだんだがどうやら間に合ってよかったぜ。だから気にするな。俺もヤバいと思ったさ。まあ後のことは俺たちがなんとかする。いや、どうにかなることはもう分かっているんだ。お前にもいずれ解る。だから今は安心して眠れ」 上条は、あの時、聞いた言葉をもう一度、今度は自分で言ってみた。 遠くない将来、『八月二十日の自分』にかけなければならない言葉を。 そう。上条当麻はもう一度、『八月二十日』に行かなければならない。『インデックスが変革した世界』を『元に戻す』ために。 なぜなら、『今の上条当麻』は『世界を元に戻していない』。 あの場に現れた『彼女たち』と『上条当麻』が元に戻したのだ。 だとすれば、『今の上条当麻』もそうしなければならない。 正真正銘、『御坂美琴のいる世界』を取り戻すためには、絶対に行かなければならないのである。 もう一度、鼻で息を吐いてから振り返った。 「待たせたな。インデックス」 上条当麻は笑顔で呼びかける。 いつの間に来ていたのか、なんてどうでも良かった。すでにそこにいたことも知っていた。 そして、インデックスから声をかけてくることはないだろうということも分かっていた。 だから、考えをまとめてから声をかけたのだ。 「ごめんね…………今回の責任は全部私にあるんだよ…………」 昼間の態度はどこへやら。インデックスは伏せ目に神妙な表情で切り出した。 上条には分かっていた。 昼間のあの態度は、無理矢理の演技だったってことを。そうでなければ、美琴と一緒に出掛けるわけがない。何が何でもインデックスと美琴が上条の病室に残ることを主張し合って永久に平行線を辿り、結局は、上条の着替えが病室に届くことはなかったことだろう。 もっとも、美琴に抱きついた時に見せた噛みつき攻撃だけは本気だったようだが。 「私の……イギリス強制送還が検討されているんだよ…………」 上条は頭をもたげた。 「誰が検討しているんだ?」 「イギリス清教…………」 元々、インデックスはイギリス清教所属で、世界の魔道書一〇万三〇〇〇冊の保管庫だ。学園都市からすれば敵側の機密事項を手に入れていることになり、魔術サイドからすれば、それは忌々しき事態である。なんとか理由を付けてインデックスを取り戻したいと考えていてもまったく不思議はなく、今回の事件はいい口実だったことだろう。 何があったかは分からなくても魔術サイドには『遡行の儀式』をインデックスが協力者を得て発動したことだけは感知していたのである。『保管庫』が『我が侭』で魔術を使うなどあってはならない。もちろん、イギリス清教がインデックス個人の意識を尊重しないとは言わない。しかし、『魔術』を『我が侭』で使うということは、今後、『一〇万三〇〇〇』の魔術を『我が侭』=『欲望』のままに行使するかもしれない危険を孕んでしまったということにもなるわけで、これでは魔術サイドのみならず科学サイドどころか、全世界の危機でもある。 「前みたいに、一年ごとに私の記憶を消す術式を施すかも…………でも、今回は受け入れようと思っているんだよ。だって、私にも分かるもん。『魔道書一〇万三〇〇〇冊』を好き勝手に使われることの危険さは…………だから、私が『自由に魔術を使えない』ようにするのは当然かな……………」 インデックスは伏せ目のままで自嘲の笑みを浮かべた。 涙は浮かんでいなかった。「仕方ないよね」という諦観の笑みだった。 「『遡行の儀式』のことを教えてくれたろ? 嬉しかったぜ」 上条は礼を言いながら、怒りが込み上げてきた。インデックスにでもなければ自分にでもない。 しかし、インデックスはか細い声で続けてきた。 上条の言葉が聞こえなかった振りをして、 「私が学園都市に居る限り、今後も『魔術』を勝手に使わないって保証はないかも…………だって、また、私の『黒い思い』が溜まっていくってことだもんね…………それは、とっても危険なことなんだよ…………」 「くそったれと伝えろ」 「え?」 少し、ドスを利かせた低い声で吐き捨てた上条に、目をぱちくりさせるインデックス。 「ステイルや神裂を通じてでも構わねえ。インデックス、お前を連れ戻そうとするなら、いいか? 俺は暴れるぞ。何としてでもお前をこの学園都市、いや、俺の傍に居させてやる。俺一人だけじゃイギリス清教に対抗できないかもしれないが、御坂や一方通行、白井、御坂妹とかに無理矢理協力させてでも、お前を連れ戻そうとする輩を逆に返り討ちにしてやるぜ」 言いながら上条の怒りはふつふつと沸き立っていった。 (インデックスは過酷な運命を背負ってはいるが、やっと一つ、そこから解放されて今は『俺の傍にいること』で『自由』に生きる世界を手に入れたんだ。それを奪って、また元の木阿弥にしようなんて許してたまるか。インデックスはインデックスだ。一人の人間だ。危険物でも無機質な魔道書保管庫でもない『心がある』人間だ。そもそも、『完全記憶能力がある』って理由だけで『一〇万三〇〇〇冊』をインデックスに押し付けた奴が、それこそテメエを棚上げして自分勝手なこと抜かすな) ぐっと、上条は真剣な瞳をインデックスに向けた。 そこには勇ましい笑みが浮かんでいた。 「つべこべぬかすなら、俺がお前から『一〇万三〇〇〇冊の魔道書』の記憶を消してやる。さぞかしイギリス清教のお偉いさんは失望するだろうぜ。けど知ったことか。『魔道書』は『異能の力』なんだから、俺の『幻想殺し』でお前の脳に直接触れれば可能なはずだ。この学園都市には『頭を切開するくらい』大した所業じゃない医者もいるしな」 「とうま…………」 「ん?」 突然、インデックスの前に何か、白い綿毛のようなものがちらついた。 「雪?」 その正体に気付いたのはどちらだったのか。 二人は上空を見上げた。 しんしんと、静かに雪が降り始めた。 「何だ? 俺に頭を冷やせってか?」 上条は苦笑を浮かべた。 不意に、頭に重みを感じた。 雪が積もった、ではない。 振り向けば、そこにいたのはいつものインデックスだったのだが、いつもの格好ではなかった。 「とうまは、怪我人なんだから傷口を濡らすのはダメなんだよ」 自分のフードを上条の頭に乗せたのだ。 「役割が逆じゃね?」 言って、二人は笑った。 「とうま」 「何だ?」 降り注ぐ柔らかな雪の白は辺りが暗闇なだけにいっそう映えて見えた。 「――――ありがとう」 さて、実は上条には自分に投げかけられたセリフを口にする必要があった理由も存在する。 というのも、『八月二十日』に行くのは、『彼女』の服装からすれば、『近い内』ではないからだ。少なくとも一年、もしかしたら二年かもしれないが、『常盤台中学の冬服』で現れた以上、『今』でないことだけは明白なのである。何と言っても、現在の『彼女』はレベル4。『時間遡行テレポート』は『レベル6』でなければできないことを上条は知っている。 つまり、今のセリフを記憶してもらっておかないと、上条がいざ、『八月二十日』に行ったときに、忘れてしまっていては意味がないからだ。 それでは、『上条当麻』が『記憶が残っている理由』に辿り着くことがないからだ。 正直言って、上条は覚えている自信がなかった。 だから、 「ところで、ちゃんと覚えてくれたか? 俺のさっきのセリフ」 優しく聞いた。 「うん。でも、私にとっては二回目なんだよ」 「あ……そう言えば、あん時に『俺』が言ってたっけか」 「そういうこと」 インデックスもまた、この世界で上条当麻と同じ『八月二十日の記憶』を持っている者だ。 『八月二十日』に『上条当麻の幻想殺し』で、この世界に強制送還されたことは容易に想像つく。 インデックスは嬉しかった。 上条当麻が自分を『独り』にしなかったからだ。 『八月二十日』の『同じ記憶』を持っているのは上条当麻とインデックスの二人だけだ。 それが、インデックスの『寂しさ』という『幻想』をぶち壊したのだ。 「とうまも覚えていてよ」 「……………何を?」 「わざとだね?」 「いや……そういうわけじゃ…………というか、正直に言うと、俺はあの時にインデックスが言ってきたことの意味が分からなくてな…………」 「とうまらしいかも。でも今はそれでいいんだよ」 言ってクスっと、インデックスはにこやかに笑った。 インデックスはわざと追求しなかった。 なぜなら、インデックスには分かっていたからだ。 『インデックスが変革した世界』を『元に戻そう』とする理由はたった一つしかないのである。 この上条当麻は『その理由』に気付いていない。心の奥底でしか気付いていない。 だから、インデックスははぐらかすことにした。 現時点では。 インデックスの期待とは逆になる可能性の方が高いから何も言わないことにしたのである。 さて、三日が経って上条はめでたく退院できたのだが、残念ながらその三日間の欠席は正月三賀日以外の冬休みをすべて奪ってしまうものでしかなかったりする。 「不幸だ…………」 本日は十二月二十四日。 本来であれば通知表をもらって、憂鬱さを抱えながら、半日で帰路に就くことができそうなものなのだが、上条はやっぱり補習で帰りがいつもの平日となんら変わらなかったりしたので、とぼとぼ歩きながらいつものセリフをぼやくしかなかった。もちろん、宿題もたんまりもらっている。通常の冬休みの宿題以外にもたんまり。 「あーこの宿題にかかりきりになってるとまたインデックスが世界を変えたりしねえだろうな」 などと、はっきり言ってシャレにならないことを口にする上条。 やっぱり、今日もあの自販機がある公園へと歩みを進める。 古来より疲れを癒すのは、食料よりも水分補給なのだ。 よって、上条はいつも通り、自販機へと向かうため、階段を降りようとして、 「ちぇいさー!!」ガヅン!! 「おわ!? な、何だ!?」 突然、聞こえてきた掛け声と、何かがぶつかったような衝撃音に驚いて、結果、上条は思いっきり階段を踏み外す羽目になった。もっとも石で出てきたその階段は七段しかなく、結構緩やかなな角度なので大事に至ることはない。 大事に至ることはないが、それでも、『落ちた音』は結構大きい。 というわけで、 「なーにやってんのよ、アンタ」 上条当麻を呆れた視線で見下ろす御坂美琴がヤシの実サイダー片手にそこにいた。 常盤台の短いスカートでは、上条のように地面に伏していれば中身はもちろん見えるのだが、美琴のスカートの中は健全な青少年の夢を木っ端微塵にする仕様になっているので、もちろん、上条は嬉しくない。 「お前こそ、ここで何やってんの?」 「ジュースを貰いに来たに決まってんでしょ」 「んな窃盗行為を堂々と宣言するんじゃありません。はぁ……」 諦観のため息を吐いて上条は立ち上がる。 不意に上条のポケットからコロンと携帯電話が落ちた。 どうやら、転んだ衝撃でポケットにしまってあったものが、結構ポケット入り口近くに来てしまっていたらしい。 もっとも、この程度の衝撃でどうにかなるほどやわなものでもないが。 「おっと」 上条は何気に拾い、 そこにあるものに気付いて小さく笑った。 「なあ御坂、お前、今、暇か?」 「まさか。これから黒子や友達とクリスマスパーティーよ。ほら、そこに買い物袋あるでしょ。私は食料調達に出てたの」 「あーそう言えば今日はクリスマスイブだったな。うーむ。インデックスにケーキでも買ってやらなきゃならんかな?」 「で、何の用?」 「え?」 「ほら、アンタ、私に『今、暇か?』って聞いたじゃない。だから何の用?」 実のところ、『上条当麻を意識していない』ときの美琴は上条に負けず劣らず鈍感であり、普通、男が『クリスマスイブ』に『女の子』に「今、暇か?」なんて聞いてきたら、『お誘い』だと気付きそうなものなのだが、美琴はまったく気付かなかった。 「いや、暇じゃないならいいや。お前、急いでんだろ? こっちは後でもいい用事だからさ」 「あっそ。じゃ、私行くから」 「おう、またな」 言って、二人は別々の帰路に就く。 上条はこの場では美琴の気持ちを優先したのだが、やっぱりちょっと心残りが芽生えていたりする。 それでも上条は、この日常が嬉しかった。 御坂美琴がいる日常に安らぎを覚えていた。 とは言え、この心残りをを明日にまで引っ張れる自信はなかった。 宿題と補習のことに埋め尽くされる前にやっておかないと、後々、忘れそうだったから。 ゆえに上条は、インデックスが寝静まってから美琴に連絡を入れた。 「で、何の用?」 場所は夜の鉄橋。 自販機のある公園よりも、深刻な話がある時は大抵二人はここに来ることがなぜか習慣になっていた。 理由は、もしかしたら八月二十一日のことがあったからかもしれない。 先に来ていたのか。 御坂美琴は腕を組んだ仁王立ちで上条を迎えた。 ちなみに美琴が深夜の呼び出しに文句を付けなかったのは、以前、自分もやったことがあるからだ。 決して、上条のお誘いが嬉しかったからではない、と本人は強く主張する。 「ああ、ちょっとお前に頼みがあってな」 「三日前の話? それだったら明日、あの子と遊びに行く予定よ。冬だけどアイスも食べようって話したら喜んでたわ」 美琴だって馬鹿じゃない。 上条当麻が『クリスマスイブ』の深夜に『呼び出したから』と言って、こと上条当麻に限れば、それで何か、乙女が夢見るような展開になることは決してあり得ないことが分かっている。 だから、至極冷静に上条と向き合える。 もっとも、それが分かる自分がちょっと嫌だ、と思っているのだが。 「そうか。そいつは良かった」 上条は不意に『インデックスが変革した世界』の御坂妹を思い出した。彼女は確かに美琴とアイスを食べたいと言っていたが、それは、この世界の御坂妹は知る由もない話だ。これは上条の知らない話で、美琴と御坂妹しか知らないやすらぎに満ちたあの時間を二人はまた満喫したいのだ。 「でも、それじゃなくてだな。こいつを付けてくれないか、って」 言って、上条が取り出したのは携帯電話だった。 夕方には付いていたものが、今は外されている。 「…………こんなことで呼び出したわけ?」 「そうだ。どうも俺じゃ上手く結べないのか、すぐ取れてしまってな。だから、お前に結んでほしいと思ったんだ」 「あのちっこいのは?」 「インデックスができるわけないだろ。あと他のクラスメイトに頼むのは相当の覚悟と勇気がいる」 「…………そこまで?」 「となると、頼めるのはお前しかいない、だろ?」 「分かったわよ。じゃあ貸して」 「おう」 二人は互いに向かって歩き出す。 手を回せば、お互いの背中に届きそうな距離まで近づいて。 上条は美琴に携帯と、 『ゲコ太のストラップ』を手渡した。 ごそごそやることしばし。 「はい。これでいい?」 美琴が携帯に付いたストラップをひけらかすように、上条に突き付けて、 突然、ぎゅっと優しく、しかし力強く包み込むように上条当麻は御坂美琴を抱きしめた。 「へっ!?」 当然、美琴には意味が分からない。 こんな展開になればいいなとは思っていたが、まさか、実際になるなどとは微塵も思っていなかっただけに意味が分からない。 上条の肩に顎を乗せながら硬直するしかできなかった。 無理もない。 美琴は知らない話になるが、上条は美琴のいない世界に四日ほど身を置いた。 また、過去に遡り、美琴を救い出す際に、自分自身が『御坂美琴のいる世界』を心から望んでいたことに気付いた。 たとえ、それがどんな感情によるものなのかを理解できないとしても、 上条当麻は御坂美琴という存在を全身で感じたかったのだ。 三日前の病院では即座にインデックスと白井黒子に引き剥がされた。 でも今は違う。 インデックスも白井もいない二人だけの空間だ。 今、この場を逃してしまうと、今度はいつ、こういう場面に遭遇するか分からないだけに。 今、この場を逃してしまうと、もしかしたら、また、御坂美琴がいない世界に放り込まれるかもしれないだけに。 どうしても、一日でも一分でも早く御坂美琴を感じたかったのだ。 そのままどれくらいの時間、そうしていただろうか。 刹那のような永遠の時間。 上条は、そっと、美琴を離し、じっと彼女の瞳に映る自分を見た。 そこには、満足げな笑顔の自分がいた。 「え、ええっと…………あの…………」 そんな上条の笑顔を見て、何をされたかを理解して、 美琴の表情がぼんっという擬音が聞こえそうなくらい瞬間沸騰した。 「――――って、何してくれちゃってんのよ!? アンタは!!」 叫んで、この近距離から電撃をスパークさせる。 「お、おわ!?」 それを条件反射的に上条は打ち消した。 もうちょっとだけ美琴が素直になれたなら。 もうちょっとだけ上条が鈍感じゃないなら。 あのまま、雰囲気に流されて『次の段階』があったかもしれないが、この二人では所詮ここまでだ。 それに上条当麻はまだ、世界を元に戻していないし、インデックスの問いの意味も分かっていない。 だったら、全ての答えを出すのは『その後』だろう。 すべてが解決した『その後』の話になるのだ。 「で、話はこれでお終い?」 イラついたふりをしながら、顔をまだ赤くしたままで、上条と視線を合わせずにぶっきらぼうに聞く美琴。 「ま、まあな……そんじゃ気を付けて帰れよ!」 上条は少しキョドって言ってから、そそくさと美琴に背を向けて走り出した。 もちろん、先ほどの自分の行動を反芻して恥ずかしさがこみ上げたからではない。 もちろん、美琴がまた電撃攻撃する前に逃げ出したかったからに過ぎない。 美琴が上条の背中に何か言っていたようだが、上条の耳には入っていなかった。 「まったく……」 美琴は一人になった鉄橋をしばらく眺めてから踵を返す。 ちょっとだけ期待が叶ったことは嬉しかったのか、瞳を閉じた俯き気味のその顔は少しだけにやけていた。 上条にかけた声は届かなかったようだが、それは別に大したことじゃないし、また会った時に言えばいいだけの言葉だ。 「そんじゃま、帰るとしますか」 誰に言うでもなく、 しかし何かを振り払うように呟いた美琴は前を見据えて、 「あれ?」 いつの間にそこにいたのか。 二つの人影にいぶかしげな声を上げた。 一人は男、もう一人は女。 「どうしてアンタたちが?」 美琴の問いに答えたのは男の方だった。 「お前に話がある。信じられないだろうが信じてほしい話が」 「意味分かんない」 しかし、美琴は『付き合い切れない』という表情は見せなかった。 なぜなら、美琴はその二人が顔見知りだったからだ。 男は言った。 「お前とお前の周りの世界を守るために一緒に来てくれ」 美琴にはそれで充分だった。 なぜなら、今の男のセリフは美琴と白井とアステカの魔術師以外は知らないセリフだからだ。 それは、上条当麻の御坂美琴に対しての宣誓なのだ。 そして、目の前にいる男がそれを口にしたということは、そういう事態が降りかかっているということになる。 信じない訳にはいかなくなった。 「分かったわよ。でも、ちゃんと説明してくれるわよね?」 「もちろんだ」 ため息交じりの笑顔で言って、美琴は二人の男女とともに歩き出す。 御坂美琴の夜はまだ終わらない。 翌日、十二月二十五日。 この日は本当のクリスマスで、十字教創始者の生誕を粛々と厳かに祝う日となる。 敬虔なクリスチ……もとい、十字教の使徒であるインデックスも、この日ばかりはいつもの明るさはナリを潜めて、静かに祈祷と創始者への思いに没頭しているようだった。 何せ、朝ごはんを茶碗とお椀の白ご飯とみそ汁だけで済ませたのだから、この日のインデックスの気概は半端ではないことがよく解る。 さらには、上条が部屋を出る時もインデックスはイギリスの方向へ祈りを捧げていた。 それはイスラム教ではないのか? という気がしないでもないが、そこを突っ込んではいけない。それだけ今日のインデックスは『十字教の使徒』なのだから。 そんなインデックスの後姿を見送ってから上条は補習が待つ学校へと向かったのだ。 そして、補習も終えた夕方というよりはほとんど夜になっていた帰宅の途。 上条は、陸橋を渡りながら、不意に下にあった喫茶店が目に入った。 窓越しに見えるそこでは、御坂美琴と御坂妹の、談笑なんだか言い争いなんだかよく解らないやりとりが繰り広げられているようだった。傍から見れば本当に仲の良い双子の姉妹に見えていることだろう。二人の手元にはティーカップも見えた。中身が残っているかどうかまでは分からない。 「良かったな。御坂妹」 上条は聞こえることがない二人にそう告げて、その場を立ち去った。 そこには『変えられた世界』の御坂妹の願いを『この世界』の御坂妹が叶えていた姿があった。 ふと、前を向けば、知った顔が歩いていた。 「よう、久しぶりだな」 「あン? 前に会ってからそんなに時間が経ってたか?」 相手は白い髪に赤い瞳の一方通行だ。 首にはチョークが巻いてあり、右手にはトンファーのような、長い棒から横に取っ手が付いたデザインの杖。ちょっと歩くのも辛そうだが、彼の表情にはそんな憂いは微塵も感じられなかった。 なぜなら両脇に二人の女の子がいたからだ。 一人は御坂美琴をそのまま十歳にしたような少女。 もう一人は、逆に御坂美琴をそのまま三年ほど成長させた少女。ただし、その目つきはすこぶる悪い。 「買い物か?」 「まァな」 ふと、上条の脳裏にレベル6の一方通行が浮かんだ。 彼の望みは、そのままこの一方通行の現実だ。 「サンタさんからはプレゼントをもらったんだけど、一方通行からもプレゼントがほしいっておねだりしたの、ってミサカはミサカはあなたに報告してみたり」 「小さい女の子の要求は断れないもんねー親御さん? 『サンタ』さんに負けちゃいられないってかにゃん?」 「ほえ? 番外個体はサンタさんに会ったの? ってミサカはミサカは羨望の眼差しを送ってみる!」 「ええ、ミサカは会ったことあるよ。何なら上位個体も会わせてやろうか?」 「是非! ってミサカはミサカは全身で喜びを表現してみたり!」 「くっだらねェこと言ってンじゃねェ。さっさと行くぞ」 そんな三人の様子に上条は小さく笑った。 「うん。じゃあね」 「バイバイ、ヒーローさん」 一方通行に次いで打ち止めと番外個体も上条の脇をすり抜けていった。 上条当麻は再び前を見据える。 と、同時に。 「この腐れ類人え、もとい! 上条さん! お姉さまを見かけませんでした!?」 いきなり、胸倉を掴まれた。 相手はもちろん誰か分かっている。 「そこまで言ったら訂正もクソもないと思うぞ」 「ええい! そんなことはどうでもいいですの! それより、お姉さまは一緒ではなくて!?」 「いいや、今日は一緒じゃない。つか、俺と御坂ってそんなに一緒にいるイメージがあるのか?」 「いいえ、そうではありません! ただ、わたくしやわたくしのご友人二人が知らないとなると、あなたと一緒にいる可能性が一番高いと思いましたの!」 「何だよそれ」 「とりあえず、あなたが知らないのであればよろしいですわ。また探しに出るまでですの!」 上条を解放して、白井は踵を返した。 その背中に上条は言葉をかける。 「なあ、白井」 「何ですの? 今、忙しので手短かにお願いしますわ」 「頑張れよ」 「意味が分かりませんの」 少しジト目を向けて白井黒子の姿は掻き消えた。 上条は、美琴を見つけるのを頑張れよ、のつもりで言ったのか、レベル6に成れるよう頑張れよ、と言ったのか。 おそらく両方なのだろう。何と言っても本人もどっちの意味で言ったのかが分からない。 そして、上条は再び歩き始めた。 力強く歩みを進めるその表情は凛々しい笑顔が浮かんでいた。 上条は笑わずにはいられなかった。 みんなが求めていた世界がここにある。そして、それは決して失ってはならないものだという確信もあった。 上条当麻はもう一度、『八月二十日』に行って、世界を復活させなければならない。 その決意を固めるには充分の光景だった。 (でも、まあ…………) と上条は思う。時間はまだあるかもしれないが、実は世界を復活させるためにもう一つ、重要なイベントが存在する。 上条が『そのこと』に気付いたのは昨日だった。『通知表』を見て、それを知った。 白井黒子と一方通行を『自分の目の前』で引き合わせなければ、これまた世界は元に戻らない。 そのためには、十二月二十日の『宿題』をほぼ全問正解させなければならないのだ。 (俺の最底辺の成績を、ほとんど最高レベルに引き上げなきゃならんとはね…………) 苦笑を浮かべて、上条当麻はインデックスの待つ自室へと帰っていった。 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 時は、セミの大合唱がいまだ鳴り止まない八月二十日。 (昨日の攻防戦で継続を諦めたのか、一基だけでは実験は継続できないのか) 少女は昼の学園都市を歩きながら、心の中で半信半疑ながら考える。 (分からないけど、奴らを撤退まで追い込んだ…………) それでも、その事実は少女の胸の内に夜明けを連想させる明るさが広がってきた。 まだ、どこか現実味がないとは言え、 (やった……? やった!?) 夏の日差しだというのに、木漏れ日が心地よくなってきた。 (やらなきゃいけないこと、まだまだ沢山あるけど) 実感すると、全身に歓喜の感情が波紋のように広がっていく。 (『あの子たち』はもう……死ななくても…………) ふと上空を見上げた それを考えると、安堵感にも似た気持ちが膨らんでくる。 そのまま、ぐっと前を見据えた。 心に浮かんだのは三人の顔。 一人は、頭がお花畑のまだ幼さが残るショートカットの少女。 一人は、レベル0なのに自分よりも『強い』と感じるロングヘアの少女。 一人は、誰よりも自分のことを心配してくれるツインテールの少女。 少女は、少し笑った。 (みんな……今、帰るから…………) それは『現実へ』という意味。 不意に横手から『ガチャガチャ』という妙な音が『聞こえて』きた。 まったく周りのことが見えなくなっていた少女が『現実』に帰ってきた証でもあった。 ふと、そちらに視線を向けてみれば、 「あれーっ!? おっかしーなぁ」 そして――――少女は少年と出会った―――― 前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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僕の考えたトレーナー . / ..イ三三/7 ィ | ∠ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ ハ . / .ィ /三ニ= イ // / /  ̄7ィ - 一 … ミ x  ̄ ¨ = = 一 ¨ ァ. i . / . イフ/{ヾ /ィ// ./ /´ .イィ ィ≡三ニ=ミ . ノ } } . 'イ / /イ . ヾ /〃 / / / / /ィ ,∠彡 ァ';ィ /´  ̄ `ーァ = = 彡' / : . 'ィ√´ / < . \ ./ ./ /{ /_ 乂 ̄// / .ィ ./ .イ / ′ . / / /ハ `ー- .. __`ーァ x/ / / j{ ./rャzx .ヾ{;′ //. ′ / ィ / / . / // .ヘ ´ ハ { { X{ {! ん 圷ミ` /′/ ____/ 厶 ィ / / イ . ; 〃 .. \ ` X1 弋r ハ ´イ二z //// 才 {〉ヽ . } // ..ィミx ` ー-=ニ三三三三7/ ! ` . ¨ " んイ 三斗 彡' イ _ァ彡 ) . j 〃 / `Y `>=三// { __乂 |三≦三三 彡 '" ./ . ;' / ./ | . イ´ ̄≧ . X ハ ′ _ ≦斗ァ j/ ァ 一 " ./ . 7 / ,′ | . イ . // . ヾ ヽ. 、 <三 .イ__ .斗≦ ィ . イ . ; 〃 { { /≦三三三 ;' √¨ Y´\ ` ‐一' 三7三イ _ .イ . / { .. . ヾ ̄ ´ __ ヾ \ ¨ /ィ .斗匕∠ -‐''¨´ . r' / > ´ヽ .. 丶.__ ..-‐ ¨/ . `ヽ ∨ .`x.-―/ァ彡'/ィ / . L_ {´ };;;;; .. ‘, . // .. ‘, . } .` x '// . , レ{ . `Y >. 一 1 .. \ . // . ヽ i .. ト 、 `「Y´ ;ト 、 ____ . |才 . } . .. ヽ / . Ⅵ .イ }\ |)}\ " ̄> } \ / } ! .. . イ . . /X . ハ}ヾ ソ/ ヾ x. ノ i! `ト、/ ! ヽ / . | ミx . . // .} . } .Y/ . } . イ ヽ. !i } 、 .} } / . } | . `丶、 . . // . | | ..ノ′ ` 、 ヾ 、 O} Y ! Ⅵ i. { . ヽ .. . \ ' . . // . / j/´ \ \ ! j | Y . . . | ヽ . \\ .. .` ー - // ..../ / ヾ ... ヾ Ⅵ } i! ヾ . . / > 、 .. ヽヽ . . {ヽ ノ .. イ \ ... \ヾ! j i! . ヘ ∧、 / \ . } } . . } i }、 . ,. ´ ≧=一ヾ ∨ /. ∧. } 【名前】御坂美琴(AA出典:『とある魔術の禁書目録』より「御坂美琴」) 【トレーナーステータス】 指示:C= 平均的な指示力。 育成:D+= 低い育成力。「電」タイプのレベルが上がりやすい。 統率:B+= 高水準の統率力。「電」タイプなら『ヌシ』でも使役できる。 能力:A= 「発電」の異能を持つ。 【固有ポテンシャル】 『電撃纏うビリビリ娘』… 御坂美琴固有ポテンシャル。 場に出た味方を「充電」状態にする事が出来る。 『とある科学の超電磁砲』… 御坂美琴固有ポテンシャル。 PT全員が「技能拡張:ちょうでんじほう」を繰り出す事が出来る。 「ちょうでんじほう」… 特/電/100/100/単/×/「まもる」貫通。「10割:麻痺」。「充電」状態でないと失敗する。 【サポーター】 . . . . . . . \ ∧ ゙ .V ∧ . . . | . .ト、 、 . . . . . . . ! ヽ ∧. i.} . ,、Λ . .{ . . } ヽ,_ . . .\ ゙、、 . . . . . |\゙、_、 ,Vリ . ',ヾヘ ハ .∧ . . .  ̄\ . . ∧、 ∧` < _ 斗_ . . .! {ヾV\{、 . . ', ``リ . . { \ . . ._<'、 . ∧ヽ ヘ,x七汐´∠ . .| ` ^Уj l .\ . ', .{/ . . . γ‐\、 匁汐、 . .ヘ´へヽ--‐彡"´ `ヾ ! r .'´ ,' | / . .ヽl .l. . . . . . .〉__ノミミー‐ ` 、 . .ヽ `丶 ; / リ' . . . . . . .| . . . . . 7、. 丶\`` ! ゙'< ヽ / / / . . . . . . . . .! . . . . . { \`゙、 } `ヾ .、 / / / . . . . . . . . . .| . . . . . ト、 . . .ヽ l / ../ / . . . . . . . . . . .j . . . . .リ \ . . . . . \ ``''ヽ´ イ/ / . . . . . . . . >" . . . . /V . . . . .l . \ 、._ _.. -‐ /´ _,/;. ,___>" . . . . . . ./ ∨ . . . .l . . . . \  ̄ /、 _,ィ ー二ミ ーヽ、\- 、 . / . .∨ . . l . . . . . . . .ヽ.. イ゙' .;7´⌒フ''"´  ̄ ̄ > ―- < . . . ヽ . . .{ . . . . . . . . . .__;∠_('(¨゙´ , ー > ´ o o o \ . . . . . ヽ . l. . . . . . ,,ィ'ニィ'´ `⌒¨´ `゙ゝ -- <  ̄ 丶 o ーV . . . . . .ヽ{. . . . .ゝゞ,_ ,. ィ ´ ̄ .`< ``ヽ 、 \ o.∨、 . . . .∧V_;.イ´ . .;.、, ィヽ-ィ 、; 、. .>、 ツ` ^ゝ ゙、 \ . . . \ . . γ'´ィー ''゙ ̄``ヽ-´`゙´ `ヽ ヽ `'ーーヾ// 、 _..ィ、ヽ 丶 /イ /丁 ` ー-、'.\ゝ-\ ゞニ'彡/ハ、 _ `ヽ/,、 ー}_ヽイ´//.レ′ 〉 .. ヽ `<_. ヘ._ゞ=三彡イ jノ j ゝ=-'′ ゙、ーベ二 /_.べ、 ./ / リ |'、 ,,..... -‐个ー  ̄´⌒´ ヽ ///リ / 【名前】ニコラ・テスラ(AA出典:『黄雷のガクトゥーン』より「ニコラ・テスラ」) 統率:A+= 卓越した統率力。追加任命は『チェイサー』。 【サポート効果】 『交わり流れる雷電』… ニコラ・テスラのサポート効果。 稀に味方を「充電」状態にする。 【手持ちのポケモン】 / イ , / ヽ \ /; / ム ∠. . ――,- \ ヽ 〈 ヽ' ´ 二 -< \ マ ,イヽ _ ヽ ヽ \-‐` ヽ ∨ // ハー==-丶 ヾ \ ム .∨ ´/ イ i ヽ 斗匕ヾ V/\ マ_ ,-‐ヾ .∨ i/i,i i7テ、\f弋 } ,マ V/i/`// ヽ 、-、 〉 i ハ マv-O / , マ/////\ ∧ マム / i' ´ v 7 /ヽ- ヘ∧ ̄ ∧ ヽ-、 > _=-'´- ―― `  ̄ 7 ー ァ ./ / _/ ` ー-=-―ニ= ― -、 iヽ ∧-マ 二ニ ノ´γ / \ `ー ヽ 〉 ムニマ V- ニ== ___ { \ ∨ / \ }_` }i ヽ / ∨ { `ヽ、 `ー --  ̄ ヽ! \ / ヽ ノ `ヽ、丶 `ー _ ... - .. / 、 `¨ / V `ヽ < \ `ー- ニ /、 ヽ < ヽ \ `l_ __ < \ \ `ヽ、 _ - ムニマ `ヽ、 ヽ \ `ー=  ̄ ̄ ̄ ――――― == _ //`ヾ- _ ハ \ ´ヽ////ヽ `ー- ∧ ;//`ヽ、_/」\ `ー- 」 `ヽ、 i//////////}/\ 、-、, i/////////ノ////\ `ヽ、( `⌒ ´` i/////////,、///////\ 【名前】ネギ・スプリングフィールド(AA出典:『魔法先生ネギま!』より「ネギ・スプリングフィールド」) 【タイプ】でんき/ひこう 【特性】いろめがね… 自身の技が「こうかいまひとつ」の時、技の威力を2倍にする。 【もちもの】 【技x6:かみなり、ぼうふう、サイコチェンジ、きあいパンチ、でんこうせっか、じゅうでん】 こうげき:C ぼうぎょ:C とくこう:A とくぼう:A すばやさ:A 【ポテンシャル】 『不動のエース』… 「ここぞ!」という時、全能力値が上昇し、技のクリティカル率が上がる。 『固有種』… 「ネギ・スプリングフィールド」種がこの個体だけのため『オールドタイプ』を無効化する。 『子供先生の雷速』… 自身の優先度+1以上の技の威力を強化(1.5倍)する。 『子供先生の魔法』… 自身の優先度+1以上の技が相手に「必中」する。 『子供先生の契約』… トレーナーが「能力:A」以上の時、自身に『契約の特権』を付与する。 『パクティオー』… 自身に『契約の特権』が付与されている時、自身に『絆』を付与する。 『魂の絆』… 場にいる限りトレーナーの指示を「1」ランク上げる。 低確率でポテンシャルを再度受けられる。 『先の先』… 相手が優先度+1以上の技を使用した時、低確率で先に行動する。 『対岩回避』… 敵陣に「岩」ポケモンがいる時、相手の「岩」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対岩耐性』… 敵陣に「岩」ポケモンがいる時、相手の「岩」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対岩反撃』… 敵陣に「岩」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『カウントアーツ』… 「ここぞ!」という時、自身の「避」を強化(1.33倍)する。 『キラー』がいると発動しない。 『契約の特権(電)』… 相手の「電」技のダメージを半減する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『術式兵装・雷天大壮』… ネギ・スプリングフィールド専用ポテンシャル。 「充電」状態の時、自身の技の優先度を「+1」に変更する事が出来る。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz  ̄( ` 人_ _} ヽ ″ バヽノ _)し}/( .′} チ_ ⌒){  ̄} / 」 ヽ /⌒ヽ{ ヽノ /⌒Y´ … (ヽ} }{ ^\/″ /(]┴-==く( ノ `ヽ て } バ /_ー「 {ヽ} ヽ ) ', { ) チ ハノ {`ヽ 、){ _(_ z( {( _ ィ)⌒{`ヽ /c/辷} _ノ く rく }L バ。′ ヽ 人_ C≧x /_〃 }} )_ 人┬=ニ´\ノ )_ チ/(_ { ' (ム=ミ、__C_ ィC} 0 ノイ /´ 「 | ノ く _ バ{ ) ) ∧{ 人 0 ヽ}i _il{辷彡}レ'バ {人| /⌒)ノ⌒ヽ チ∨/ } ` _ー=ニノ.ム=ミ C /´ チ /ノ^ヽ__(_.-= ヽ _人 ゚ヽ_{{/ ヽ}/バ rく_⌒}人 __}i}) 「三⌒`ヽ 介トz___ノ/ チ rく{ノ_ノ Y辷彡′{ | )_}ヽ_/〔ヽ }} `}〔彡--- =孑人人′ _ 入 ∨ 〕  ̄) く_ \`トー=ニ〔 ノ^ {/}/( ′ } ∧ } ̄) }ハ´V⌒^\}人(⌒)-=ニ7〔 〕〔 / / {/} // }\_/(⌒ ノ}⌒´\ ¨¨〔ヽヽノ〔 人{ i/ く 二) )⌒ ) ) } }-_ (/ \ ノ \ { 「⌒ V ( ( } }ノ )_/ ノ^ヽ ノ -= ニ=孑/ `ヽ ', ) ) } }{ 辷彡〕 //⌒く/ (Lzt2 }__/ ( 〕) __' ノ__  ̄ ゙̄辷彡' //⌒}/ヽ__ノ //⌒} _z2く //ヽ /イ⌒゙ヽ/ イ { ( ) 厂/ニ=- 」/ X く )__ レ } | ' } { { / / /77/{ //`ヽ 二=- } 【名前】レッド・ホット・チリペッパー(AA出典:『ジョジョの奇妙な冒険』より「レッド・ホット・チリペッパー」) 【タイプ】でんき/ノーマル 【特性】はんきょう… 自身の「音」技が相手の「まもる」等の技を貫通する。 【もちもの】 【技x5:かみなりパンチ、ばくおんぱ、しねんのずつき、でんじは、ちょうはつ】 こうげき:A ぼうぎょ:C とくこう:B とくぼう:E+ すばやさ:B 【ポテンシャル】 『韋駄天』… 先発で場に出ると、1ターンの間「すばやさ」が2倍になる。 『雷電鬼の放電』… 「充電」状態になった時、中確率で相手に体力の1/8の「電」ダメージを与える。 『雷電鬼の感電』… 「充電」状態になった時、中確率で相手を「麻痺」状態にする。 『雷電鬼の輪廻』… 「充電」状態になった時、T終了時に味方と任意交代する事が出来る。 『スタンド』… 自身へのデータ解析を無効化する。 『対の先』… 相手の「すばやさ」の種族値が自分と同ランクの時、中確率で自身の技の優先度を+1する。 『対地回避』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対地耐性』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対地迫撃』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『スターター』… 『先発』が発動した時、自身の全能力値を強化(1.05倍)する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『迸る雷鳴』… レッド・ホット・チリペッパー専用ポテンシャル。 1/試/先行 自身の技に「おいうち」効果を付与し、相手に「必中」させる。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz /{ ./{ //,} /,// ///} /⌒V / `V / / / ∠ ...,,,_′ ./ { ヽ / ‘, / (ノ;) (ノ;;).r=..、 ト /f ) ‘ { } . ` 、 _ '... ∧ `マ マ´ `¨´ .. ,,,.. ''゙゙ `` 、 ´ .. ''゛ ...`. `こ´ ... ,, ''゙゙ ヽ / ,.. 〃 ''゙゙´ ''゙´ . .... ‘, ′ .. .. 、 ... } ノ´/ { / .. .. \ ト _,,.. ´ / 〃 .. .... .. , i ´ / ′ { .... . . . .. / l / / { ', . . . . . . . .... / , レ / l 、 . . . . .. ,,.. ∧ | / l ∧ .......... ..... ‐ ''゙´ / ', .. .l -‐ ⌒ ',. / ‘, ''゙゙´ .. / / ', ... l´ ′ ` ;/ ', {/i i i i‘, ; i }. } .. ',i i i i, i i i 、 ,∧ l / ; ',/{ i i i/ 、; } / ′ }. !/ / ∧ , ′ .i .. . l ′ ′ } ′ i. { .. ..... .. /| { / 【名前】ゴリチュウ(AA出典:『ポケットモンスター』より「ピカチュウ」) 【タイプ】でんき/かくとう 【特性】せいでんき… 直接技を受けた時、3割で相手を「麻痺」状態にする。 【もちもの】 【技x4:10まんボルト、ばかぢから、アイアンテール、ビルドアップ】 こうげき:AA- ぼうぎょ:C とくこう:A+ とくぼう:C- すばやさ:B- 【ポテンシャル】 『エースキラーγ』… 敵陣に『エース』がいる時、自身の「速」を2倍にし、『エース』の「速/避」の上昇(強化)を無視する。 『適応種』… 古代種「ピカチュウ」の進化系。 『オールドタイプ』を無効化する。 『森のヌシ』… 「草」技で受けるダメージを半減する。 『剛電鼠の怪力』… 自身の「攻」が減少(低下)しない。 相手の「防」の上昇(強化)を無視する。 『剛電鼠の剛力』… 自身の「防」が減少(低下)しない。 相手の「攻」の上昇(強化)を無視する。 『剛電鼠の腕力』… 自身の「攻/防」の種族値に「+」補正を得る。 『でんきだま』… 自身の「攻/特攻」の種族値を「A+」まで上げる。 『対の先』… 相手の「すばやさ」の種族値が自分と同ランクの時、中確率で自身の技の優先度を+1する。 『対妖回避』… 敵陣に「妖」ポケモンがいる時、相手の「妖」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対妖耐性』… 敵陣に「妖」ポケモンがいる時、相手の「妖」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対妖迫撃』… 敵陣に「妖」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『チャレンジ』… 敵陣に『エース』がいる時場に出ると、T終了時まで自身の技の優先度を+1する事が出来る。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『常盤に名高き剛力無双』… ゴリチュウ専用ポテンシャル。 1/試/先行 自身の「電」技が相手ポケモンの「まもる」等の技、特性、 相手ポケモンと相手トレーナーの防護ポテンシャルを無効化する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz . .. -=ニミ x / } 〃 }} { ム ′ }} ( ̄_〕r‐'i . .' ー‐-. 、 _/ ヒ ノ / . . ∨ \_} ̄ /. } }ヽ _} ,.' }j/゙ヾ| / ,′. _ノィ { / / | イ ∧ ム/ ー‐' |/ ' / ヽ八 、__,, イ ハ //≧┬ {V /ヽ} '´y''´ }/ | ′. / / /ヽ '´| `ーf / { ⅰ. . o.', 、_/. '. / |. . . . . ', ヽ、 У /.o. . ._,、ヽ \‐- ... ´ /.^v'. . . .o . `ー‐-ミ ` 、 / /o. . . . o. . . . . . . .o. . . . .ヽ \ , /. . . o. . . . . . . . .o . . . . o . . . .,\ ヽ. / / . o. . . . . o . . . . . . . . o . . . /. . /ヽ } l / . . . . . o. . . . . . . . .o. . . . . . . /. . . / \ | |/ \. . . . . . . . . /⌒ヽ. __ .ィ____ ノ /´ ̄ ヽ |'-‐ ´ ヽィ^¨7^⌒ヽ.__ } }__ .ノ´ }/ 【名前】ラストオーダー(AA出典:『とある魔術の禁書目録』より「ラストオーダー」) 【タイプ】でんき/エスパー 【特性】アップロード… 相手の「攻/特攻」を比較して、「攻 特攻」なら「特防」、「攻≧特攻」なら「防」が上がる。 【もちもの】 【技x6:ほっぺすりすり、サイコキネシス、こどもだまし、リフレクター、ひかりのかべ、しんぴのまもり】 こうげき:D ぼうぎょ:D とくこう:C- とくぼう:C- すばやさ:B- 【ポテンシャル】 『エースアシストβ』… 場を離れる時、味方『エース』が受けるダメージをターン終了時まで半減する。 『固有種』… 「ラストオーダー」種がこの個体だけのため『オールドタイプ』を無効化する。 『最終信号の声援』… PTに参加している時、低確率で「電」タイプの味方の体力を1/4回復する。 『最終信号の激励』… PTに参加している時、低確率で「電」タイプの味方が相手の攻撃を必ず耐える。 『最終信号の指令』… PTに参加している時、低確率で「電」タイプの味方の『指令』を再発動させる。 『サイキック』… 稀に相手の「特殊技」を回避する。 『愛の絆』… 場にいる限りトレーナーの指示を「1」ランク上げる。 低確率でポテンシャルを再度受けられる。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対悪回避』… 敵陣に「悪」ポケモンがいる時、相手の「悪」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対悪耐性』… 敵陣に「悪」ポケモンがいる時、相手の「悪」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対悪反撃』… 敵陣に「悪」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『陣地作成』… 自陣に展開する技の継続T数を+1する。 『リターンキュア』… 味方と任意交代する時、中確率で味方の状態異常を治癒する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『とある姉妹の最終信号』… ラストオーダー専用ポテンシャル。 1試合1回。 T開始時、場にいる味方の体力を1/2回復する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz >― ー=ミ 、..  ̄"'' 、 _彡 ―=ミ ー ミ`¨ ヽ / Λ \ ̄ Y⌒V \ \ 丶. { 乂(__ Λ { _ >―八 f^廴 __「\ \ }. ∨ / ,,ノノ Λ ⌒乂_ < ̄ ̄ 彡′ _\ }/ / Λ ∨ / 乂(__ Λ¨¨\ >‐…彡く >┘`^'く-イノ. ∨ / ((__ノノ /\ <"´ ̄ __ア へ 「`┐ ノ. /∨ / / />―____彡⌒ア / `'ーくノく.,__ / ∨__彡゛ / / >―-- / 〃 /^( ノ⌒ { ___ //\ --==< {{ ⌒ ーv√⌒<_ ,. -- 、>―――――==ニニ,,,彡く----\三三=- \乂ノ},,__,,」\_厂/ 彡 }ニニ./二二(二\\\\\__彡''"´_ ´"''~ミ `こ^7 <-< _うノ /二/二/二二\二\\\V/\ ー‐ `''<ニ=-___ 二二)ih、 > .,__//=―/=――=ニ\二\\ノ \\ 二二‐ `''<ニ=-ア= ミx、ニニ=-く=―‐/―――=ニニ\‐ァ''"\\\`¨¨¨¨¨¨¨¨¨>ニ{ i i i i i i i i iヽ_\ニニ}=―‐{――――― /-}ニ\ニニ\\`¨¨¨¨¨¨¨¨¨{ニ八 i i i i i i i i i }ア"\,}二=-{―――― /--ニニ\ニニ\`^^^^^^¨,.ィi{ニニニ/\ i i i i i iノ\\ ノ二==-―――/---ノ二二二\ニニ`¨¨¨ ,.ィi{ニ>''-{ニニニ=-ャ气\\}二)二-――彡―/ニニ\ ノ⌒ー― ,.ィi{>''´ ニ| ⌒ヽ=-くニ} \}/二二´"''<ー ニ\二二\二=‐ ''"´ ニニニ} ノ ∨} \ノ二二二二二ニ\\ニニ\ニノ⌒'く ¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨}⌒\ /ニ}ノ /二>'^~  ̄ ~^'<\ニニ{⌒\二二\二二二二 」 /^\ニニ///  ̄ ̄"''~、 }ニニ∨ニニ\ニニ`''ー―‐‐{;;;;;; / /ニ∨/ }ニノ}h、ニニニ\ニニニニニ} ヽ /ニ7 >'"´ ̄ ⌒\ニ}h、ニニニ}二ニニニ/ / ∨ニ'゙ ヽ / / \ニニ>''^`''ー‐--= /__ / /ニ7 `、 【名前】トーマス・エジソン(AA出典:『Fate/GrandOrder』より「トーマス・エジソン」) 【タイプ】でんき/はがね 【特性】ちくでん… 相手の「電」技を無効化し、自身の体力を1/4回復する。 【もちもの】 【技x6:ボルトチェンジ、コメットパンチ、れいとうパンチ、だいばくはつ、ふるいたてる、でんじふゆう】 こうげき:A ぼうぎょ:A とくこう:A とくぼう:D すばやさ:D 【ポテンシャル】 『二枚看板』… 自身の全能力値を強化(1.33倍)し、技が急所に当たりやすくなる。(C+1) 『金冠サイズ』… 「キャスター」の最大サイズである『固有種』。 「体力」種族値に大きな上昇補正を得る。 『大統王の科学』… 全体の場が「エレキフィールド」状態の時、自身の「鋼」技の威力を強化(1.5倍)する。 『大統王の発明』… 全体の場が「エレキフィールド」状態の時、相手の「こうかばつぐん」の技の威力を半減する。 『大統王の腐縁』… 「ニコラ・テスラ」がトレーナー(SP)の時、自身を『二枚看板』に任命し『魂の絆』を付与する。 『キャスター』… 相手の「特防」の上昇(強化)を無視する。 『魂の絆』… 場にいる限りトレーナーの指示を「1」ランク上げる。 低確率でポテンシャルを再度受けられる。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対地回避』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対地耐性』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、相手の「地」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対地迫撃』… 敵陣に「地」ポケモンがいる時、低確率で自身の技のダメージが2倍になる。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『ツートップ』… 味方の『エース』が「瀕死」状態の時、自身に対し味方の『アシスト』が発動する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『かがくのちからってすげー!』… トーマス・エジソン専用ポテンシャル。 場に出た時、全体の場を「エレキフィールド」状態にする。 場を離れる時、全体の場の「エレキフィールド」状態を解除する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz , ―― __ ,へ |ヽ/ _> 式 \ 〈 ,、 , -=ニ___ 彳毛≧ ソ t‐ィz、ヽ、_ / ≦三>' ̄ ̄ ̄|>爪リ /´ ィ考ー-ィ ,ィ久_ヽ彡イヾヤ ̄ ,必川/  ̄  ̄ー=ヾ ┌' >、_ |Ⅵ/ l _ _ .... \ |イ / ̄7 .┌┘ l _ _ ... / .寸__ ヽ | l _ _ /¨´ / ヽ < マ | / / \ .> ', l_ ― /¨ / ム .∧ ト、_,イ ./ | セ 〈 ', | .| / ヽ)__」_ノ , | 、 ,.ノ / lヽ ヽ―=7. i| 及イ " / ,、 `´ ヾえl  ̄7NИ. | ≦ | ヽ tノ |ミヽ Ⅵ川| , -,―‐1111_ /| └、 | . . . . . . . . . . . . . . .';. . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ_/ ̄|川Ⅳイイイメ_,ィ―‐7ー‐7-、. / .|¬ ヾ ヽ、 ` -、 / |卅ソイ7二7_/ -―――=ミ、  ̄l イ l 7 ム \____ ヽ ./ l_ |-l―7そ\_ェ‐' 二≧ー--、 |ノ ̄l彡マ ... / ̄~¨´ /ヽ ', |┼ Y  ̄||所 ヽ-‐'´ `ヽ、 ヽ丈マミ、 _/ニ├┤┤イ / .| ,∧ `ー-=、 l┼ メ ト キ i/ ̄/ __` ====ォ レ'ー、,---イ ヾ三≧ ,料 _」 - = / ± ヽ、 ,'  ̄〕┴、 ,―、 | .l / |,ィエ 三三三千斗-―, 好ム ,作ソ 彡 ― = / ヽ`ヽ/ / ', l ヽ. |ヾ /三三メヽlズ三メ 込='___ y ` ノ / l/ / / ー ┴仕三斗´ ̄ ヾ乏 ,イ Y´ ヽ ハ / ,イ´ ̄ | ,午 /ヽ /ヽ |三才∧ ハ/ヽ -、 【名前】ライロウガ(AA出典:『モンスターハンター』より「ジンオウガ」) 【タイプ】でんき/ドラゴン 【特性】テラボルテージ… 相手の防護特性を無視する。 【もちもの】 【技x5:ほうでん、ダブルチョップ、とんぼがえり、ほえる、じゅうでん】 こうげき:A ぼうぎょ:B とくこう:B とくぼう:B すばやさ:C 【ポテンシャル】 『チェイサー』… 自身の攻撃技に「おいうち」効果を付与する。 『金冠サイズ』… 「ジンオウガ」の最大サイズである『固有種』。 「体力」種族値に大きな上昇補正を得る。 『金雷公の雷爪』… 「充電」状態の時、自身の「電」技が相手のタイプ耐性を貫通する。 『金雷公の充電』… 「充電」状態が解除された時、中確率で自身の体力を1/4回復する。 『金雷公の帯電』… 相手が死に出しで場に出た時、自身を「充電」状態にする。 『エリアチェンジ』… 相手の攻撃を受けた時、味方と任意交代する事が出来る。 『後の先』… 相手が自身より先に行動した時、稀に相手より先に行動することが出来る。 『対龍回避』… 敵陣に「龍」ポケモンがいる時、相手の「龍」技の命中率を低下(0.85倍)させる。 『対龍耐性』… 敵陣に「龍」ポケモンがいる時、相手の「龍」技のダメージを緩和(0.67倍)する。 『対龍反撃』… 敵陣に「龍」ポケモンがいる時、低確率で一番最後に追加行動を得る。 『気合い』… 稀に気合いで相手の攻撃を耐える。 残り体力が多いと発動しにくい。 『アサルト』… 自身の技の「おいうち」効果の発動時、自身の技の威力を強化(1.5倍)する。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz 『千光轟く金雷公』… ライコウガ専用ポテンシャル。 味方の「充電」状態が解除された時、 T終了時に味方と交代して場に出る事が出来る。 zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第7章(後編) 上条当麻は一方通行へとダッシュをかけた。 対して、一方通行はその場に突っ立ったまま、拳の一つも握らない。両腕をだらりと下げたまま、両足もろくに重心を計算に入れず、顔には引き裂かれそうな笑みを浮かべ、たん、と。 一方通行は、まるでリズムを刻むように、足の裏で小さく砂利を踏んだ。 ゴッ!! と、 瞬間、一方通行の足元の砂利が、地雷でも踏んだように爆発した。 四方八方へと飛び散る大量の砂利は、言うなれば至近距離で放たれる散弾銃を連想させた。 史実ではどうだったか。 この時、上条は、多少ガードはしたものの、そんなもの薄皮でしかなく、まともに受けて吹き飛ばされた。 しかし、今の上条は違う。 全てが変えられてしまった世界でただ一人、元の記憶を持っている上条からすれば、『この当時の一方通行』の攻撃など、喰らえばもちろんダメージになるが、基本、単なる派手なだけの見せかけ、もっと言えばこけおどしにしか過ぎないことを知っている。 よって、上条は砂利による攻撃を横に飛んで避けた。 なぜなら、その攻撃は確かに『四方八方』なのだが、『範囲』は『前にいた上条』を補うものでしかなかったからだ。 同時に、その勢いを利用して、さらに前へと飛んだ。 「なに!?」 驚嘆する一方通行だが遅い。 ぐしゃり、と、上条の右拳は一方通行を捉えていた。 上条当麻は知っている。 この当時の一方通行は真正のおぼっちゃまで、その身は脆弱で打たれ弱いということを。 この当時の一方通行でも能力は桁外れだが、ただそれだけであることを。 あらゆる敵を一撃で必殺できるだけに、上手く敵を倒す技術を持っていない。 あらゆる攻撃を反射できるだけに、『避けたり』、『防いだり』することはしない。 それが身に染みてしまっているので、『能力を封じられた』時、一方通行が急転直下で『最弱』に転落することを知っているのだ。 「今の一発は、ただの警告だ」 上条当麻は、地面でもぞもぞ蠢く一方通行の背中に静かに語りかけた。 ひたり、と一方通行の動きが止まる。 「この実験に協力することを止めろ。従わないなら従うまでお前を打ち据える」 きっぱりと、力強く宣言する上条当麻。 この一方通行は聞き分けのない子供と同じなのだ。 誠意をもって話をしたところで通用しないのだ。 だったら、体で解ってもらうしかない。『悪いこと』をすれば『痛い目』に合うということを理解してもらわなければならない。 「チッ、――――吼えてンじゃねエぞ三下がァ!」 遠吠えのごとく声を荒げて、一方通行は再び、たん、と軽く地を踏む。 バネ仕掛けのように、足元に寝かされていた鋼鉄のレールが起き上がる。 同時に、再び、上条は地を蹴った。 「四ヶ月、後…………?」 御坂美琴は白井黒子の言葉に、文字通り、信じられないものを見た顔をした。 ついさっき、『白井を信じる』と言ったセリフを、心底、取り下げようかとも思った。 とは言え、ならば、どうして白井と上条がこの実験のことを知っているのかを説明できないのもまた事実なだけに半信半疑に陥った、といったところだろうか 「そんなお顔をされることは想像に難くありませんでしたわ」 白井は苦笑を浮かべた。 「アンタ……本当に四ヶ月後から来たの……?」 「ええ」 「あいつも?」 「はい、そうです」 「証拠は?」 「この冬服、ではいけませんか?」 「アンタとあいつが結託して担ごうとしている、って推測はできるわよ」 「でしたら、どうして『わたくしと上条当麻さんが顔見知り』でございますの?」 「それは、私があいつのことをアンタに話したことがあるからよ。風紀委員で……おぞましいからあんまり言いたかないけど……私の近くに来る男を片っ端から排除しようとするアンタなら調べかねないわよ」 「くす。わたくしがお姉さまから聞いたのは『あの馬鹿』という人物像だけですわよ。姿形はもちろん性別さえもお教えいただいておりませんのに、ですか? まあ『殿方』だろうという予想はできておりましたが」 「あ……!」 「さらに言えば、わたくしが上条さんのフルネームを知っていることに疑問を感じてくださいませんの?」 美琴は絶句した。 これでは、美琴の中には白井の言葉を否定できる材料が何一つない。 だったら、今度は『白井と上条が四ヶ月後から来たことを肯定する』前提で聞いていく。 「とすると、アンタのテレポートで過去に遡れたってことは、私の知っている『レベル4』の黒子じゃないってことよね。過去に遡るテレポートなんて現時点じゃあり得ないんだから」 「はい。わたくしの今のレベルは『5』でございます。わたくしの時間で三日前に、お姉さまの時間では四ヶ月後に認定を受けましたの」 「それは凄いわね。そっか、とうとう並ばれちゃったんだ」 どこか苦笑を浮かべる美琴。 もっとも、白井はそれを否定する。 「いえいえ、わたくしはまだまだお姉さまに追いついておりませんわ。そのことを最近、知らされましたの」 「どういう意味?」 「んー……なんと申しますか、実はお姉さまは本日、一方通行に追いつき追い越す予定でしたの。わたくしや上条さんが出しゃばらずともお姉さまのお力で、『レベル5』の一方通行を『退けられることはできた』のです」 「はぁ? じゃあ、何であんたたちは四ヶ月後からわざわざ来たのよ?」 「えっと、それはですね……なんと申しましょうか……」 どうも白井の歯切れが悪い。『肯定』前提で聞いて『疑問』が出てくるのだから皮肉以外の何物でもない。 「じゃあ、肝心なことを訊くわ。四ヶ月後から来て、この実験のことを知っているってことは、この実験の今後を知っているわよね?」 「もちろんですわ」 白井のわざと穏やかな振りをした回答を聞いて、意を決する美琴。 「…………この実験はどうなるの?」 「実験そのものは終了いたしておりますわ。そして、妹達は一〇〇三二号さん以下、九九六九人は四ヶ月後も存命しております」 「そう……てことは『止められる』のね……?」 美琴はどこかホッとした。 絶望の淵でもがき苦しんだ結果が、光明となって美琴の心に広がったからだ。 自身が一方通行を追い越したということも後押しした。 それなのに。 「ですが………」 白井の顔は曇った。 「黒子?」 美琴のいぶかしげな問いに言うべきか言わぬべきか。 白井の心が揺れる。 しかし、それでも言わなければならないのである。 なぜならば、 「一方通行は『レベル6』に進化しましたわ。お姉さまの命と引き換えに『絶対能力』を手に入れましたの」 再び、美琴は驚嘆に絶句した。 そういう表情を美琴が見せるであろうことを分かっていながら白井はあえて言ったのだ。 なぜならば、 それを知らないと、今、この場でも同じことが起こるかもしれないからだ。 戦闘は上条に圧倒的有利で展開していた。 一方通行に『策を練る』という概念はない。 あるのは目の前にある『道具』を圧倒的な力をもって直線的に攻撃するしか脳がない。 だから、全てが上条に読まれる。 だから、全てを上条に回避される。 「クソ。クソォ! クソォオオオオオオオオオオ!!」 己の攻撃はすべて見切られ、向こうの攻撃はすべて当たる。 しかも、相手は宣言通り、『打ち据えてくる』だけの攻撃で『本気』ではない。 そのことが分かるだけに、余計、一方通行にとっては腹立たしく屈辱的だった。 ただし、一方通行は気付いていた。 一方通行の能力が『通じない』、正確には『能力が消されてしまう』のが、相手の『右手』だけであることには気付いていた。 理由は単純だ。 相手が右手以外で攻撃してこないからだ。 左はもちろん、蹴りや頭突き、タックルと言った攻撃が来ないからだ。 とは言え、それでもどうすることもできない。 なぜなら、『相手の動きを読むことができない』一方通行では、『一方通行の動きをすべて読んでくる』相手にはまったく届かないからだ。 「…………っ! く、は、何なンだよその右手は! 何だ、チクショウ! 何だってオマエにはただの一発も当たンねえンだよ、ちくしょう!!」 どう聞いても、負け惜しみである。 この間にも上条は一方通行に拳を叩き込み続けていた。 言うなればジャブ。 相手の足を止めるための体力削ぎ。 そして、ついに、かくん、と一方通行の膝から力が抜けた。 ゴッ!! と上条はこれまでにない力を込めて一方通行を殴り飛ばした。 地を舐めながらごろごろ転がり、 「はっ……ハァ…………!?」 上半身を起してみれば、そこには上条当麻が、どこか哀れんだ瞳で見下ろしていた。 無様にも、学園都市最強は、手だけを使ってずるずると後ろへ下がる。 「レベル6って、そんなにいいものかよ」 上条はゆっくり追う。 「絶対能力、無敵を手に入れた先に何かあるのかよ。たくさんの人たちを犠牲にしてまでほしいものなのかよ」 静かに上条は言う。 右手をぎゅっと握りしめ直して、 「てめえは、頂上に辿りついた野郎がどうなるか、知ってんのか! 俺はそいつがどんなに辛く寂しく絶望に等しい日常を送っているかを目の当たりにしたんだ! それでも『無敵』という『頂点』がほしいのかよ!!」 上条は止まらない。 名前こそ明かさないが、それは四ヶ月後の一方通行の姿だ。 『無敵』を手に入れた一方通行が激しく深い後悔をしていたことを知っているからこそ。 『無敵』よりも、能力使用に制限がかかっていようと、体が不自由だろうと、それでも『傍に誰かがいてほしい』を選ぶ一方通行の泣きそうな顔を知っているからこそ。 上条当麻は、この一方通行にそうなってほしくないのだ。 上条当麻の優しさが、この一方通行を見ていると、どうしても怒りが湧いてしまうのだ。 ひっ、と一方通行の動きがピクリと止まる。 言われている意味は分からないが、目の前の相手が自分に対して言っているのだということは分かる。怒鳴られていることは分かる。 そして、それが一方通行にはとても『怖かった』。 この目の前の相手を『怖い』と思い、どこかへ行ってほしいと本気で思ってしまった。 「私が…………殺された…………?」 ようやく、美琴は言葉を絞り出して言った。 随分と長い時間、沈黙していた気がする。 それくらい、衝撃的だった。 「はい…………お姉さまは、一方通行を追い詰めることには成功しました。しかし、そのことが……『追い詰めてしまったこと』が……一方通行を、新たな『力』に目覚めさせて…………しまったのです…………」 思い出したのか。 思い出してしまったのか。 今、目の前にいる御坂美琴を直視して、耐えきれなくなったのか。 白井黒子は毅然と告げているつもりだったのに、その声は嗚咽で震えていた。四ヶ月間の寂しかった思いが体中を駆け巡ったのだろう。 その声に秘められた思いに嘘はまったくなかった。 美琴はそれを感じ取った。 「だから…………実験が終了した…………一方通行が『レベル6』になったから…………」 「そういうことです…………」 「でもちょっと待って。自分のことなのに客観的に見るのも変だけど、それが事実ならそれでいいじゃない。私は、そのつもりでここに来たんだから」 そう。御坂美琴は命を賭してこの実験を止めに来た。 経過はどうあれ、結果が同じなら、それで構わないのではないかと美琴は考えた。 自分の命で残りの妹達の命が救えたならば素晴らしいことではないか。 上条や白井が助けに来てくれたことは素直に嬉しい。 でも、それだけで充分なのである。 「…………それでしたら、わたくしたちが四ヶ月後から来ませんわよ」 しかし、どこか白井の次のセリフには怒気が孕んでいた。 「お姉さまは、目的を達成できて満足されるかもしれませんが、残された者のことを考えられましたか?」 「そ、それは…………」 「わたくしはお姉さまが亡くなられてから毎晩泣き明かしましたの。もう涙が枯れるくらい泣き明かしましたわ。それでも『それでいい』と仰りますの?」 「え、えっと…………」 「わたくしだけではありません。お姉さまのご両親はもちろん、初春や佐天さん、その他、常盤台の生徒、もちろん、妹さんも嘆き悲しんでおられましたのよ」 「で、でも……………」 「あと一方通行もお姉さまを殺めてしまったことを後悔しておりましたの。その償いに妹達を守る決意をされたほどでしたわ」 「………………………」 美琴は黙り込むしかできなかった。確かにこの当時の美琴は追い詰められていたから周りが見えなくなっていたが、『その周り』の反応を知らされると、如何に自分が愚かであったかを痛感させられる。 「だ、だけど黒子さ。事実が『史実』なら、アンタの行動も褒められたもんじゃないわよ。いくら時間遡行できるからって、『個人の我が侭』で歴史を変えるのはどうかと思う、け……ど…………」 語尾は尻すぼみになってしまうのはいた仕方ない。 なぜなら、白井がジト目で睨んでいたからだ。 もっとも、その白井も別の意味で気を取り直して、 「ですが、お姉さま。その『事実』さえも『史実』ではなかったとしましたら?」 「え……?」 「上条さんが仰っておられましたし、その証拠も提示していただきました。『お姉さまが亡き者にされた世界』こそが『変えられた世界』だとしましたら? ですから、わたくしたちはこの時間に来たのです」 「え――――!!」 三度、御坂美琴は絶句した。 上条当麻は静かに歩みを進めていた。 恐怖に硬直する一方通行を見据えながらゆっくり近づいていった。 結局は、一方通行を上条当麻が倒すしかこの実験を終わらせることがはできないのだと。 結局は、レベル0という『最弱』で、レベル5という『最強』が『最強』ではなかったことを証明するしかなかったのだと。 そう考えると、上条はどこか悲しくなった。 だから、一方通行に近づくまでに時間がかかった。 しかし、その躊躇した行動が最悪の結果を招く。 上条当麻は自分自身のことだったのに忘れてしまっていた。 しかも、四ヶ月後の一方通行も忘れてしまっていた。 『御坂美琴だけ』ならば『レベル5』でも屠ることができたかもしれない『力』のことを忘れてしまっていた。 一方通行のレベル6の力が『絶対』過ぎて忘却の彼方に追いやってしまった事実が一つあったのだ。 一方通行のレベル5の力で『幻想殺し』を超越する力が、一つだけあったのだ。 それは、上条の前髪が『夜風』になぶられ、まるで墓地に咲く名もない花のように揺れていたことを発端とする出来事。 (……、風?) と、追い詰められていた一方通行は気が付いた。 四ヶ月後の一方通行が『忘れてしまっていた』ために『伝えていなかった』ことに気が付いた。 この場にいる上条当麻も『本来の史実』だったのに『忘れてしまっていた』ことに気が付いた。 「く、」 一方通行は笑う。上条は思わず立ち止った。 しかし、それは一方通行にとってはどうでもよかった。『この距離』なら気付いてももう遅いからだ。 「くか、」 一方通行の力は触れたモノの『向き』を変えるというもの。 運動量、熱量、電力量、それがどんな力かは問わず、ただ『向き』があるものならば全ての力を自在に操るもの。 「くかき、」 ならば。 この手が、大気に流れる風の『向き』を掴み取れば。 世界中にくまなく流れる、巨大な風の動きそのすべてを手中に収めることが可能――――! 「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけきくくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかか――――ッ!!」 轟!! と音を立てて、風の流れが渦を紡ぐ! 一方通行が両手で何かを掴もうとするがごとく天に突き上げたその先で。 上条の顔色が変わった。そして、今ここで思い出した。 一方通行の『ベクトル操作』の中で、上条当麻の『幻想殺し』が唯一防ぐことができなかった『力』。 しかし、もう遅い。 殺せ、と一方通行は笑いながら叫んだ。 刹那、世界の大気を纏め上げた破壊の鉄球は風を切り、風速一二〇メートル――――自動車すら簡単に舞い上げるほどの烈風の槍と化して、見えざる巨人の手は、上条当麻をいともたやすく吹き飛ばした。 「何ですの!?」 白井は説明を中断して声を上げた。 予期せぬ事態に、一瞬、何が起こったか分からなかった。 突然、台風以上の暴風が吹き荒れたと思ったら、上条当麻の体がその風に呑み込まれて鉄塔に激突し、しかも、結構な落下距離を頭から地面に落ちたからだ。 しかも、ピクリとも動かない。 「嘘…………」 別の意味で美琴は言葉を失くした。 それは、傍にいた妹達も同じだった。 白井と美琴が、ある意味場違いな会話をかわせたのは、上条当麻が一方通行を圧倒していたからだったのだ。 それがいきなりの大逆転劇を見せられてしまえば、言葉を失っても仕方がないと言える。 「…………咄嗟に思い付いたンだが、こりゃ、相当の威力だなァ……『反射』とは違って、『向き』を自分の意思で変更させる場合は『元の向き』と『変更する向き』を考慮しなけりゃなンねェわけなンだが………この付近の『大気』だけでもこの威力…………くっ、」 一方通行は笑い出した。 「クッ……カッーカッカッカッカッカッカッ! なるほどな! 確かに『強い相手』と戦うとレベルアップするってのは本当のようだなァ! 三下ァ!!」 そのまま、再度、両手を開き、天へと掲げ、 「何だ何だよ何ですかァそのザマは! 結局デカイ口叩くだけで大したことねェなァ! おら、もう一発かましてやるからカッコよく敗者復活してみろっての!!」 はっきり言って、本当に子供のようだった。 追い詰められていたのは一方通行の方だったというのに、有利になった途端、この悪態である。 しかし、それでも上条は返事ができなかった。 いや、聞こえているかどうかすら怪しかった。 「空気を圧縮、圧縮、圧縮ねェ。はン、そうか。イイぜェ、愉快なこと思いついた。おら、立てよ。オマエにゃまだまだ付き合ってもらわなきゃ割に合わねェんだっつの!!」 「くっ! やっぱり私が!」 美琴は歯を食いしばり、ポケットからコインを取り出して、駆け出そうとするが、 「お待ちになってくださいお姉さま! お姉さまが戦ってはなりません!」 それを白井は、美琴の眼前にテレポートして制止した。 「どきなさい、黒子!」 「いいえ! お言葉を返すようで申しわけございませんが、お姉さまと一方通行を戦わせるわけにはいかないのです!」 「何でよ!? アンタのさっきの言葉が正しいとするなら私は一方通行を追い詰めることができるんでしょ!? だったら、あいつの窮地を救えるのは私だけってことになるじゃない!!」 「だからですわ! 『レベル5』の能力者が一方通行を追い詰めてはいけないのです! それが一方通行を『レベル6』に引き上げる原動力になるのですから!!」 美琴以上の音量で言い募り、美琴が黙り込んだところで、白井は太もものホイルスターから一本、金串を抜いた。 「ですから! ここはわたくしの出番ですわ!!」 吼えて、白井は振り向きざまに金串を投げた。 一方通行めがけて、一方通行の起こした大気の流れを突き切るように金串は疾走する。 「あン?」 一方通行の頬を何かがかすめていった。 少し切れたのだろう。細い赤い糸が伝っている。 即座に、視線を今、何かが飛んで来た方へと移す。 そこには一人のツインテールの少女が一方通行を睨みつけていた。 同時に一方通行は大気の演算を止めた。 空気の塊は拡散し、周りに吹き荒れていた暴風も弱まっていった。 『大気の演算』を放棄するほど、一方通行はそのツインテールの少女に興味を持った。 白井黒子の、一方通行のレベルを知って、なお、上条当麻のように恐れを為していない眼差しに多大な興味を示したのだ。 「お姉さま! ここはわたくしが一方通行の相手をします! お姉さまは上条さんを!」 「でも!?」 「わたくしを信じて下さいませ! お姉さまが戦われるよりも、わたくしの方がまだ可能性はあります! 一方通行を進化させない可能性が!!」 白井黒子は振り向きもせず、一方通行に視線を合わせたまま、美琴に促した。 そして、美琴はそれが何を意味するかを瞬時に悟った。 相手が『レベル5』では、一方通行が『レベル6』という絶対に進化してしまう危険性がある以上、この時間では『レベル4』としか記録に残っていない、しかも『レベル5』がいない『テレポーター』の白井黒子【レベル5】で、一方通行をペテンにかけるしかないことを。 そして、そういう風に考えたということは御坂美琴は信じたのだ。 この上条当麻と白井黒子が四ヶ月後の世界から、『美琴が殺されてしまった世界』を『美琴が助かった世界』に戻すためにやってきた来たことを。 とは言え、疑問も残っている。 どうして上条当麻が『変えられた世界』であることに気付いたのか。 どうして上条当麻が『御坂美琴が救われた世界』に拘っているのか。 この二点だけは、どう考えても分からなかった。 しかし、そんな疑問など今の美琴にとってはどうでもよかった。 そんな疑問に構ってられる上条当麻の様子ではないからだ。 これ以降、御坂美琴の頭の中に『この疑問』が呼び戻されることはなかった。 「う、うん! 分かったわ! けど無理するんじゃないわよ!」 美琴もまた、頷いて、同時に妹達を背負って、上条の元へと向かう。 鉄塔に激突した上条は地に突っ伏して、いまだピクリとも動かない。 「なァンだァ? テメエごときに俺の相手が務まるとでも思ってンのかァ?」 凶悪な笑顔を浮かべて嘲る一方通行。 対する白井黒子は太もものホイルスターから鉄串を抜いて、右手の人差指、中指、薬指の間に二本挟み構えた。 実は、白井には勝算があった。 一方通行を倒して、御坂美琴を助け出し、そして実験を終わらせる勝算が。 (この当時のわたくしのデータバンクは『レベル4』。でしたら、今、この場でわたくしが一方通行を撃破しても一方通行は『最強ではない』と判断されますの) という目算が。 しかしである。 それはそのまま、白井黒子の弱点ともなる。 なぜならば、 (ただ、わたくしの攻撃手段はわずか二投…………しかも、ベクトル気流を見極めての攻撃は一回だけですわ。二度の偶然はあり得ない、と、この一方通行も考えるはずですからね。そうなると、わたくしがレベル5であることがバレてしまいますの……) 白井の頬に緊張の汗が伝う。 それは白井が『レベル5』だと相手に悟られてはいけないからだ。 もちろん、『レベル5同士の戦いだから、たとえ一方通行が負けたとしても、誤差の範囲内と判断されるから』ではない。 単純に『レベル5の一方通行』であれば、今の白井黒子は負けない自信がある。 それは一方通行の能力発動時に発生する『ベクトル気流』が見えるので、その間隙を縫うことができるからだ。 しかし、問題は一方通行が『レベル6』に進化する前に倒さなければならない点にある。 白井の知っている一方通行は御坂美琴との戦いで『レベル6』に進化した。 それも一方通行本人から聞かされたのだから疑う余地はない。 と言うことはつまり、それは『レベル5』に追い詰められたからこその進化であると結論付けられるわけだから、『レベル5』の白井黒子が一方通行を追い詰めてしまうと、『レベル6』に覚醒する可能性を孕んでしまっているということだ。 だから、白井が『レベル5』であることを悟られてはならない。 一回であれば、一方通行も偶然で片付けるだろうが、二回目を絶対に偶然と判断するわけがない。 『縁』であれば二回目でも偶然で片付けられるが、『命』がかかった出来事の二回目を『偶然』と思うわけがない。 だから最大でも、おとりを含めて二投までしか金串攻撃は許されないのだ。 御坂美琴と妹達は上条当麻の元へと辿り着いた。 一方通行の注意が白井黒子に向けられたので、あっさり辿り着くことができたのだ。 「ちょっと!」 即座に美琴は上条の手を取った。 同時に何か生温かいぬるっとした感触があった。 「―――――っ!!」 一瞬で全身の血の気が引くのを感じる美琴。 それは妹達も同じだった。 最悪の可能性が過った。 白井黒子はテレポートを駆使して、一方通行の砂利散弾攻撃をかわしていた。 「ギャハハハッ! やるじゃねェか! テレポーター! このスピードでも空間把握ができるなんざ大したもンだぜ!」 しかしまだ金串を投じてはいない。 一方通行の感心なのか馬鹿にしているのかよく分からない哄笑が届くが、そんなことくらいで白井がキレることはない。 間合いは取ったまま、縦横無尽にテレポートを繰返し、かわし続ける。 例えるなら、『とある科学の超電磁砲S』OPムービー、『Sister s Noise』の二回目の「彷徨う心の~」辺りの、麦野沈利のメルトダウナーの攻撃を回避するテレポートを白井一人で繰り返している、そんな感じだった。 実は今の白井は十一次元に瞬間ではなく、一時的に一定時間、身を置くこともできるのだが、それをやるのもご法度なのだ。 とにかく白井黒子は一方通行に自身が『レベル5』であることを悟られるわけにはいかないのだ。 「オラオラオラオラ!! どこまで避け続けることができるかなァ!!」 一方通行は本当に楽しそうに砂利散弾を撃ち続ける。徐々にそのスピードを加速させながら。 「お姉さま……この方は息をしておりません、とミサカは震える声で報告します」 「分かってるわよ!」 妹達のどこかガクガクしながらの現状報告に、自分の嘆きを吹き飛ばすように声を荒げる美琴。 もちろん、妹達にも分かっている。 美琴が、上条当麻の現状を危惧している苛立ちを爆発させただけだということを分かっている。 白井黒子はランダムテレポートを繰り返しながら隙を探っていた。 この当時の一方通行は『レベル5』で、実際に当時最強なのだが、その最強を『過信』する『驕り高ぶった』最強だった。 対する白井は絶対に油断しない。驕った『最強』でしかない、今の白井なら『負けることはない』一方通行と言えど、油断はしない。 なぜなら、どんなに傲慢だろうと、この一方通行が『レベル6』に進化する可能性を秘めていることを知っているからだ。 だから白井は油断しない。 ましてや白井の手数はわずか二手。そのことが『絶対に油断できない』緊張感を生む。 一投目でベクトル気流を読み切り、二投目を一方通行の眉間めがけて投擲する。 間合いを間違えなければ今の白井の金串にはピアノ線が付いているので、金串が脳を貫く寸前に引っ張り出し、最小のダメージで一方通行を倒すことができるのだ。 今、この場の勝利とは何か。 それは、御坂美琴の命を救い、一方通行の命までは奪うことなく『気絶』させて倒すこと、ただ一つだ。 (来た!) 白井は心の中で快哉を叫んだ。 「オラァ!! 今度はどうだ!!」 一方通行が十数本に切断したレールを弾丸として、白井目がけて放ったのだ。 砂利とは違い、レールはある程度の太さと長さがある。 つまり、目くらましに使えるのだ! 瞬時に、白井はレールの間隙を縫うようにテレポートを繰り返す! 「ぬ?」 「はぁっ!」 完全に右手がレールの死角に隠れる瞬間を見逃さず、白井は金串を投げた。 反射でかわされても構わないおとりの金串を。 一方通行の頭部めがけて、だいたい100キロ前後のスピードで風切り音を立てて向かっていく。 「ハン! 無駄無駄ァァァ!!」 当然、一方通行は自分の目の前に迫った金串を『反射』、正確には『金串のベクトル』を操作して、あらぬ方向へと飛ばした。 (今ですわ!) 心の中で吼えて、同時に白井はもう一投! 今度は一方通行の『ベクトル操作』が作用しないはずの一撃を放った! 「ン?」 一方通行からいやらしい笑みが消えた。 何か探るような視線をその金串に向けていた。 そして、 一方通行は、サイドステップを踏んで、その金串を『避けた』。 「なっ!?」 当然、驚愕する白井。 思いがけない一方通行の行動に動きが止まったのだ。 「ほォ、テメエ、なかなか面白ェ真似するじゃねェか…………俺の『ベクトル操作』時に『ベクトルの流れ』を見極めて、その間隙を付いてくるとはなァ…………」 一方通行は凶悪な笑みを浮かべた。 「さてはテメエ、『レベル5』クラス、だな? テレポーターの『レベル5』なンざ聞いたことなかったが、俺の『ベクトルの流れ』が視えるとすりゃァ、三次元を十一次元変換して空間把握する『テレポーター』以外、考えられンぜ。それも俺と『同レベル』じゃねェと、『視える』はずもねェ」 「馬鹿な! どうして、それが解りましたの!? わたくしの『視覚による攻撃』は今のが最初ですわよ!!」 白井は叫んだ。 最初からいきなり、見破られるとは思ってもみなかったからだ。 しかし違うのだ。 一つ、白井黒子はミスを犯していた。 そして、それは致命的なミスだった。 「『今のが最初』?…………クックックック……違うんだなァ……テメエの今のは『二発目』だったンだぜ……ホラ、覚えてねェか? オマエ、あの男からオマエに俺の注意を向けさせンのに、牽制で『一回』投げたのを」 「あ――――!」 指摘されて白井は愕然とした。 一方通行の言う通りで、あの時に一回、金串を投げていたのだ。 しかもそれは、絶対に白井に注意を向けさせなくてはならなかったので、『ベクトル気流』を見定めての一投で『一方通行の頬にかすらせた』のだ。 一方通行からすれば、当然、その時に疑問を抱く。 そして今の一撃だ。二度の偶然はない。 そう結論付けるには充分だ。 つまり、今の一撃は『三投目』だったのだ。 「くっ……」 白井は歯噛みした。 一方通行に自身が『レベル5』であることがバレてしまったから。 「さァて、テレポーター…………テメエに『ベクトルの流れ』が視えるってことは、俺に近いレベルがあるって意味だ…………こいつは正直、このダルイ実験よりもやり甲斐がありそうだぜ…………」 一方通行が白井黒子を『敵』として認識した。 それはすなわち、一方通行が、妹達や美琴を相手にしていた時とは違い、白井を相手にするときは遊ぶことも勿体つけることもしない、という意味だ。 当然だ。 格下が相手であれば、『真面目』にやるはずがない。『楽しむ』ために『余計なことをする余裕』があるものだ。 しかし、相手が『実力が近い者』となれば、自身が『倒される』危険を孕む。そんな状況下で余裕をぶっこけば、寝首をかいて下さいと言っているようなものだから『真面目』にやる。 だから、生成に時間がかかる『大気のベクトルを操った攻撃』を『最初から』中断したのである。 「今夜はなかなか楽しい夜だ。さっきの野郎のおかげで俺は『大気を操る』力を手に入れたわけだが、テメエは俺に何をくれるかね? 強い相手とやるのは『成長の近道』だからなァ…………」 ただ、それでも一方通行は白井に負けるとは思っていない。 『視える』だけでは『油断さえしなければ』なんとでもなるからだ。 四ヶ月後の一方通行が白井に、ある意味追い詰められたのは、『レベル6』の力で脱することができる自信があったから『油断』したためだ。 「……………っ!!」 白井は頬に汗を浮かべて、再び金串を構えた。 しかし、攻撃するわけにはいかない。 それは最悪の結果を招くことを知っているからだ。 そして、それは、防戦一方になることを意味しているのだ。 当然、結果は見えている。 美琴は白井と一方通行の戦闘に視線を移さざるを得なかった。 白井が、ずっと耐え忍んでいた一方通行の攻撃をまともに喰らい、吹き飛ばされたからだ。 一方通行が砂利の上に着陸し、白井は態勢をまともに崩して、肩から落ちた。 ぐしゃっと言う嫌な音がした。 「…………っ!」 美琴は唇を噛み締めた。 妹達だけじゃない。 自分のことでいったいどれだけの人間が傷つくのだ、と泣きたくなった。 自分の所為でいったいどれだけの人間を一方通行の生贄にしてしまうのだと自責の念に駆られた。 ―――――!! 次の瞬間、美琴は息を呑んだ。 なぜなら、白井が立ちあがったからだ。 小さくないダメージがあるだろうに、 息も絶え絶えなのに、 全身がふらふらなのに、 それでも立ち上がったのだ。 それが意味することはたった一つだ。 白井黒子は、命をかけて御坂美琴、上条当麻、妹達に決して一方通行の注意が向かないようにしようとしているのだ。 (なんでッ……) 美琴は嘆いた。 (なんで私は……こんなに弱いの?) 美琴は慟哭した。 (常盤台のエース? 七人だけのレベル5?」 美琴は自分自身を否定したくなった。 (なにもできないじゃないッ――――妹達を守ることも、一方通行を止めることも、コイツの怪我を治すことも、黒子を助けることも――――) 美琴は心の中で絶叫した。 しかし、美琴が絶叫したところで何も変わらない。 奇跡は待っていたって起こらないのだ。 美琴は今、自分の足元を見た。 そこには、上条当麻が髪の影で瞳を隠し、口を少し開けたまま、血まみれの状態で横になっている姿しかなかった。 正面にいる妹達は、そんな上条を沈痛の眼差しで見つめるだけだった。 が、 白井黒子を一方通行から救い出す手段は一つしかない。 (……こんな状態のコイツに私は何を…………) 心の内に罪悪感が広がる。 一瞬、ためらいが生まれる。 しかし、その躊躇いは向こうから聞こえてきた、衝撃音によって吹き飛ばされる。 白井が、再び一方通行の攻撃を受けてコンテナに激突した音だったからだ。 「……無理を言っているのは分かってる…………どれだけ酷いことを言っているのかも分かってる…………」 美琴の声は震えていた。 理屈は分からないが、この少年が持つ『能力を無効化する力』。 それこそが、この場で一方通行を止めることができる唯一の手段であることを分かっている。 「でも、アンタにやってほしいことがあるの……ううん、アンタにしかできないことがあるの!!」 美琴の瞳から涙が落ちていた。 その涙は上条の頬で跳ねていた。 「私じゃ……みんなを……守れない……から……だからっ……お願いだから!」 白井黒子は言った。 レベル5が一方通行とは戦ってはならない、と。 レベル5が一方通行と戦うと一方通行を無敵にしてしまう危険性を秘めていると。 だとすれば、 今、この場で一方通行を倒す手段は、美琴自身も知っている『上条当麻というレベル0の力』しかない。妹達では相手にすらならない。 「黒子を、妹達を、――――そして、私を助けて!!」 心肺停止状態の場合の人工呼吸の基礎。 泣き叫んでから、御坂美琴はありったけの気持ちを込めて上条当麻の体内へと、生命の息吹を吹き込んだ。 上条当麻は、暗闇の中、柔らかな光が差し込んできたのを感じた。 全ての感覚が失せていたはずなのに、その光を『暖かい』と思えた。 自身の口元を中心に広がる暖かい感覚が、波紋のように全身に広がっていき、失いつつあった生命が再び活動を始めたことを認識した。 同時に聞こえてきた。 誰かの必死の思いが。 誰かの泣き叫ぶ声が。 誰かの切なる願いが。 内容はまだ遠くに聞こえていたので届かなかったが、上条は『その誰かの気持ち』が言葉ではなく心で理解できた。 まだ動ける。 ならやることは一つしかない。 上条の命の炎を再点火してくれた、その人物に報いなければならない。 上条当麻の意識は再覚醒する。 ピクっと指が動いた。 次いで、閉じられたまぶたがギュッと引き締まった。 美琴は、上条の体が反応したことに気付き、即座に離れて上条の顔を見やる。 血の気の失せていて蒼白だった表情に赤みが差していた。 もちろん、それは羞恥という意味ではない。 上条の体に、再び命の炎が宿ったという意味だ。 上条が静かにまぶたを上げる。 「み、さか…………」 「あ…………………」 目の前にあったくしゃくしゃな顔の本人に呼び掛ける上条と、今度は嬉し涙が伝う美琴。 美琴の口元に付着している赤いものは美琴のものか上条のものか。 「そうか……お前が俺を呼んだのか…………」 「うん…………」 全身に力を入れて上条は起きようとする。 刹那、さらに聞こえてきた激突音。 上条、美琴、御坂妹は反射的にそちらへと視線を移す。 そこには、 「クックックックック……よく頑張ったじゃねェか、オイ。何で攻撃してこなかったのかは分からねェが、それでもテメエはよくやった。まァ、これで終わりだ。退屈でツマンネエ実験よりも面白かったぜェ」 「くっ………」 白井は座り込み、まだ戦意は失っていない瞳で睨みつけるしかできなくなっていた。 そんな白井へと一方通行が手を伸ばす。 白井にトドメを刺そうと手を伸ばしてくる。 白井にはすでに避けることもテレポートで逃げることもできないほど、体力は低下し、全身の激痛が能力発動を拒む。 「終わり、だ」 がさり………… 呟いた一方通行の背後から、本来であれば耳をすましていなければ聞こえないほどの物音が聞こえてきた。 一方通行の動きが止まる。瞬時にその背に冷たい汗が浮かぶ。 「まさか!?」 一方通行はバッと勢いよく、振り返った。 そこに信じられない光景が広がっていた。 確かに息の根が止まったことを感じていたのに。 確かにもう動くはずがないと思っていたのに。 それなのに、そこにボロボロで血まみれの上条当麻が立ちあがっていたのだ。 (そんなはずはねェ! アレで生きていられるわけがねェ!!) 同時に上条がおぼつかない足取りでこちらに向かってきた。 ジャリ…… 「!!」 一方通行は自分の足が一歩後退したことに驚嘆した。 「チッ……」 ぎりっと歯を食い締めてから、心を落ち着かせようと、一度佇まいを直して、 (何、あんな死に損ないにビビってやがる……アイツはもう、歩くのがやっとの野郎だぞ……立ち上がったこと自体、奇跡って野郎なンだぞ…………) 理性は告げている。 あんなボロボロの者など、触れただけで粉々にできる。 速やかに実験を終わらせるなら、目の前のテレポーターと、奴の後ろにいるオリジナルを片付けて、クローンにトドメを刺してからでも充分大丈夫だと。 優先順位からすれば一番最後で構わない、と。 直接触れるのが嫌なら、その辺りにあるレールやコンテナの雨でも降らせて押し潰してしまえばいい、と。 しかし、一方通行はどこか本能的な部分でアレに背を向けることを拒んでいた。 どんな状態であれ、あの男がこの場における最大の敵であるが故、少しでも生き永らえさせてはいけないと考えてしまっていた。 絶対に『自分の手』で葬り去らなければならない相手だと感じていた。 「面白ェよ、オマエ――――」 一方通行は最初の標的に上条当麻を選んだ。 かいたこともない冷や汗を浮かばせながら、どこか鼓舞するように言った。 「――――最ッ高に面白ェぞォォォォォおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 吼えて、一方通行は足の裏のベクトルを操作して、弾丸のように飛び出した。 ありがたい、と上条は思った。 本来の、上条の知る史実の八月二十一日同様、そう思った。 だとすれば後の展開も見えている。 『先』を知っている者と『先』を知らない者。 しかし、その『差』はレベルを超越する。 上条はギュッと拳を握った。残されたわずかな力すべてを振り絞って握った。 一方通行の右の苦手、左の毒手。 ともに触れただけで人を殺せる一方通行の両手が、上条の顔面へと襲い掛かる。 まったく同じだった。 だから、上条は小さく笑った。 これで、歴史が元に戻る――――そう思えたから笑った。 一方通行に悟られることもないほどの小さなものでしかなかったが。 それでも上条は勝利を確信した。 残された最後の力で、上条は頭を振り回すように身を低く沈めた。一方通行の右手が虚しく空を切り、左の毒手は上条の『右手』に払われた。 「歯を喰いしばれよ―――― 一方通行――――」 上条は言った。 上条の知る八月二十一日とは、わずかに違うセリフで。 なぜなら上条当麻にとっての『最強』は目の前の一方通行ではなかったから。 なぜなら上条当麻にとっての『最強』はこの世界に送ってくれた『無敵』の一方通行だったから。 「――――この一撃はは四ヶ月後のお前から今のお前の目を覚まさせるよう、託されたもんだぁぁぁああああああ!!」 瞬間、 上条の拳はうなりを上げて一方通行の顔面に突き刺さり、その白い華奢なが勢いよく砂利の引かれた地面へと叩きつけられ、乱暴に手足を投げ出しながらゴロゴロと転がっていった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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モンスター(14枚) ドラグニティ-レギオン×3 ドラグニティ-ドゥクス×3 ドラグニティアームズ-ミスティル SIN スターダスト・ドラゴン エフェクト・ヴェーラー ドラグニティ-アキュリス×2 ドラグニティ-ファランクス×3 魔法(17枚) ブラック・ホール 大嵐 死者蘇生 調和の宝札×2 サイクロン×2 貪欲な壺 月の書 テラ・フォーミング×3 精神操作 竜の渓谷×3 地砕き 罠(9枚) 奈落の落とし穴×2 ゴッドバード・アタック 聖なるバリア-ミラーフォース- 激流葬×2 神の警告×2 神の宣告 エクストラ(15枚) ドラグニティナイト-ヴァジュランダ×3 ドラグニティナイト-ガジャルグ A・O・J カタストル TG ハイパー・ライブラリアン 氷結界の龍 ブリューナク ブラック・ローズ・ドラゴン スターダスト・ドラゴン×3 スクラップ・ドラゴン トライデント・ドラギオン No.39 希望皇ホープ No.50 ブラック・コーン号
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第8章 この時間の御坂美琴と妹達に別れを告げ、上条と白井は鉄橋下、元の世界からこの世界に飛び立った、あの廃材置き場に来ていた。 理由は簡単。 ここから元の時間に戻るためだ。 二人とも結構ボロボロなのだが、応急手当と少しの休養である程度、歩いて時間移動のための場所に来ることと喋るくらいことくらいできる体力と元気は戻ってきていた。 ついでに白井はテレポートする力も戻っている。 ちなみに美琴は常盤台の学生寮での処置を提案したのだが、そこには『この時間の白井黒子』がいるので、この案は却下となった。 よって、応急手当用の消毒液や包帯は、一〇〇三二号を通じてこの実験の結末が知れ渡っていた妹達に準備してもらったものである。 「そう言えば、今、この世界から元の世界に戻りますと、わたくしの記憶は『この世界』からの記憶に書き替えられるのでしょうか?」 「どうだろ? 確か魔術の『遡行の儀式』ならそうなるって話だったが、俺たちは『身体』そのものを移動させたんで記憶が残るかもしれないな」 「ううむ……それはそれで不都合かもしれませんわ……今度はわたくしだけが違う世界に放り込まれる感じになるような…………」 「ははっ。だったら、お前の記憶が書き換えられることを祈ってろ」 「無責任ですわね。わたくしにとっては結構深刻な問題ですわよ」 「そうは言っても違うのは『八月二十一日~十二月中旬』だけなんだろ? それなら、その間は『夢』だったことにしちまえよ。どうせ、お前はお前だ。あとは周りとその間の話を上手く合わせてろ。それでもどうにもならないようなら俺が弁護してやるさ。お前の記憶が書き換えられなくても、少なくともここ三日から四日ほどのお前と俺の記憶は同じだ」 「なるほど。それもそうですわね」 白井はポンと手を叩いた。 「ところで、元の時間に戻るのは大丈夫なのか?」 「その辺りは問題ありませんわ。『元の世界』は『現在』ですし、『過去』と違って、元々、座標がどこにあるか分かってますし、『時間のベクトル』を確認する必要はありませんの」 「そうか、てことは後は俺たちが入る『機材』を何にするか、だな」 言って二人はキョロキョロ辺りを見回す。 ちなみに『機材』には事欠かないので何の問題もない。 「さて、これで元に――――」 上条は、ふと、携帯を取り出した。 あの激しい戦いの中、壊れたかもしれない携帯を。 もっとも、誰かにかけるためではないから故障しているかどうかは問題ではない。 望んでいるものがあるかどうかを確認するだけだからだ。 しかし、 ――――――――っ!! 上条は息を呑んだ。一瞬、自分の目を疑った。 そんなはずはない。 そう思いながら、かぶりを振り、目をこすって再度、携帯を見る。 しかしない。 あるはずのものがない。 御坂美琴の命を助けたのに。 八月二十一日の顛末を変えたのに。 それなのに、そこになければならないはずのものがないのだ。 「どうされました? 上条さん」 上条の様子がちょっとおかしいことに気付いた白井が声をかける。 「いや……そんな……まさか…………」 上条は必死に否定したくなった。 しかし、現実は残酷だった。 上条の予想は当たっていなかった。 御坂美琴を救い出せば世界は元に戻るという予想は間違っていたのだ。 「上条さん?」 再び、白井が問いかける。 上条は肩越しに振り返った。 その表情は蒼白に強張っていた。 「白井…………」 「何ですの?」 そんな上条の表情を見れば、白井の表情にも険しさが浮かぶ。 「まだ…………『世界は元に戻ってねえ』…………」 「…………は?」 「…………もし、世界が元に戻っているなら、俺の携帯に付いてなきゃならないものがある。けど、それがないってことはまだ戻っていないってことだ」 「………………」 「どういうことなんだ? 御坂を助け出して、史実通りにしたのに、何で…………?」 何が何だか分からない。 上条は狼狽するしかできない。 そう。上条当麻の携帯には、本来の史実、九月三十日に御坂美琴とペア契約した際に特典として付いてきた、十月三十日に千切れてしまったが、十一月初旬に再度戻ってきた、ゲコ太のストラップがまだ付いていなかったのだ。 「そうですか…………はぁ……」 が、白井黒子は、そんな上条の様子をあざ笑うがごとく、呆れたため息を盛大に吐いていた。 どことなく、上条を見る瞳が白く見えた気がした。 それが何を意味するかを即座に悟る上条。 「ち、違う! 俺は嘘を吐いちゃいない! 世界は絶対に御坂がいないことで変わっていたんだ! 証拠だってあっただろ!?」 「何をうろたえておられますの? 今さら、あなたが嘘を吐いていた、なんて思っておりませんからご安心くださいませ」 「そ、そうか……じゃ、じゃあ何で元に戻らないんだ…………?」 少しだけホッとして、しかし、上条は再び慌てふためき、 「つまり、それは『お姉さまを救い出す』が条件ではなかったということですわ。何か別の理由で『世界が変えられた』になりますの」 「けど、世界は御坂がいるかいないかで違っていたんだ。それなのに『別の理由』なんてあるのか?」 「いえ、『お姉さまがいるかいないか』で相違があったことは正しいですわ。ですが、原因が『一方通行に殺されたから』ではなかったということですの。まあ、あれほどまでに苦労したことが実は間違いでしたでは…………これが先ほど、わたくしが呆れた視線を上条さんに向けさせていただいた理由なのですが…………これでは、徒労感と脱力感が半端ではありませんわよ…………はぁ…………」 再び、白井は盛大な溜息を一つ吐いて。 それでも、なんとか気を取り直して、 「ここはもう一度、おさらいしてみましょう。そもそもの原因、『お姉さまが命を落とすことになった』一番の理由、つまり、あなたが仰った『一方通行を上条さんが退けてお姉さまが命を落とさずに済んだ』が、どうして、この世界では『無かった』ことになっていたのかを」 即座に提案する。 「ああ。だから、『俺』の代わりに俺たちが来たんだろ? もしかして白井がいたことがまずかったとか?」 「アホですか、あなたは。『お姉さまがいるかいないか』で世界が変わってしまっているのですから、ここに、わたくしが居ようと居まいと関係ないではありませんか」 「け、けど、元の史実だと『お前はいなかった』わけだから…………」 「ええい、お姉さまが『あの馬鹿』と仰っていましたが、お姉さまの『あの馬鹿』発言は照れ隠しの悪態でしたのに、まさか本当に言葉通りとは思ってもみませんでしたわ」 「う…………」 「言っておきますけど、それでしたら、今の上条さんも私と同じ立場ですのよ。『本来の史実』を持ち出すなら、『今、この時間の上条さん』でなければならないことになりますの」 「あ、そうなるな…………てことはやっぱりこの時間の『俺』じゃないとまずかったってわけか…………」 「そういうことですわ。というか、どうしてこの時間の『上条さん』はお姉さまをお救いにならなかったので?」 「んなもん俺が知るか。俺の知っている史実なら俺はちゃんと御坂を助けたんだ」 「そこですわ。『今の上条さん』はお姉さまを助けると思ってくださったのに、なぜ『この時間の上条さん』がそう思ってくださらなかったのか。『今の上条さん』と『この時間の上条さん』が別人でなければおかしな話ですわ」 「んな馬鹿な。『この時の俺』と『今の俺』は同じ『俺』だ。なのに、考え方が違うなんざ、あり得ないだろ――――って、待て」 「どうされました?」 「いや……ちょっとな………」 しばし、二人沈黙。 白井は上条の答えを待っている。 上条はハッとした。 「まさか……いや、そんな…………けど、それしか考えられない…………ひょっとして…………あ、そう言えば………てことは………嘘だろ…………アレか、アレが原因なのか…………だとしたら今回の事件の真犯人は…………いや、それだと…………」 「上条さん?」 上条が意味不明に呟くのが聞き取れて、白井は思わず呼びかけた。 「白井…………分かった……見えた……今回の御坂がいなくなった世界に変えられてしまったって事件のほぼ全貌が…………」 「何ですって!?」 震える声で切り出す上条に、素っ頓狂な声を上げる白井。 「ああ……まだ俺自身の中での組み立てでしかないんだが聞いてほしい…………そんで、俺の仮説に矛盾が無いかどうかを判断してほしい…………」 「ええ…………」 白井の同意を得て、上条は語る。 今回の事件の顛末すべてを。 そして、今回の事件の首謀者を。 白井は黙って上条の説明を聞いた。 一字一句逃さずに、それくらい真剣に聞いた。 上条がすべてを話し終えて。 白井は再度、自分の中で話に筋道を立ててみる。 出た結論は、 「確かに…………それでしたらほとんど全ての辻褄が合いますの…………ですが、まさかそんな…………」 白井の声も震えていた。上条同様、何か信じられないものを見た、そんな表情だった。 「ということは、わたくしたちの行くべき本当の時間は――――」 「そうだ。けど、どうする? 今、俺たちが『一方通行を倒してしまった』以上、これから戻る『世界』は『御坂がいない世界』ってところは変わらないが、もしかしたら『俺たちの知っている御坂のいない世界』じゃなくなった可能性がある。てことは、その世界の一方通行が、『俺たちの知っている』一方通行とは限らなくなってしまったってことだ。『レベル6』でかつ『俺たちに協力してくれる』一方通行がいないかもしれないし、さっきの仮説通りでお前の記憶が書き換えられてしまったらって考えると迂闊に戻るわけにはいかなくなったぞ。そして、『今のお前』では過去にテレポートすることは…………って、白井?」 話の途中で、突然、白井黒子は上条の周りに円を描き始めた。 いや、円というよりも何か別のもの。 なぜなら単なる円ではなく、中に三角を二つ重ねて書いているからだ。 「なら、もう残された手段はこれしかありませんわ、上条さん。『今、この場』から『その時間』に飛びますの」 「え?」 「あとは――――申し訳ござませんが、そのまま少し待ってていただけますか?」 「はい?」 上条が間の抜けた声を漏らすと同時に、白井の姿が消えた。 「待つって?」 上条は茫然と立ち尽くすしかなかった。 そして、待つこと十数分。 「お待たせしました」 言って、白井は、まるで優しく抱きとめるように腕に色々な『道具』を抱えて戻ってきた。 それらをそそくさと三角形の角へと置いていく。その数、六つ。 「何してんの?」 「見て分かりませんの?」 「分からないから聞いている」 「ではお答えする前に、右手だけ円の外に置いてもらえますか? あ、円の範囲には触れないでくださいまし」 「こうか?」 「そんな感じでよろしいかと」 「で、何すんの?」 上条がどことなく、何気なく問いかけると白井は自身の右手を上条の額に当てた。 「――――――『遡行の儀式』ですわ」 白井が静かに呟くと、三角を二つ重ねた円の線が、ブンと音を立てて光を灯した。 「………『遡行の儀式』?」 「ええ…………インデックスさんが仰っておりました魔術、『過去の自分の意識』と『現在の自分の意識』を交換させる魔術…………」 白井が静かに告げて、何かを、上条からすれば意味不明の言語を呟いた刹那、 白井黒子の全身から大量の鮮血が噴霧した。 「白井!?」 それは明らかにさっきの戦闘の傷口がまた開いた、レベルの出血ではなかった。 確実にその量と吹き出した個所が増大していた、そんな感じだった。 「右手は絶対に円の中に入れないでくださいませ!!」 しかし、白井の嗜める恫喝が上条の動きを硬直させる。 思わず、右手で白井を支えようとしたが、その手を止めてしまう。 「…………もう……これしかないのです……上条さん…………それに……今から行く時間であれば……『その時間の上条さん』に意識はないはず…………」 「止めろ白井! 能力者に魔術は使えない! 使えばお前は…………!!」 「ふふ…………それは正確ではありませんわ……『能力者にも魔術は使える』のです…………ただ、『体が魔術を使うのに適していない』だけで…………まあ……上条さんのお部屋で……インデックスさんの書いた文様を反芻したとき……に……こうなることは予想できていましたけど…………読んだだけでも全身が震えましたわ…………恐怖ではなく………何か、立ち入ってはいけないところに踏み込んだ……そんな感覚でしたの…………」 「なんだと!?」 「ですが……そんなことは言っていられません…………もう『遡行の儀式』以外で……お姉さまを救う手立ては…………ないのです…………」 「だからって何でお前が!? この世界でも『能力者じゃない人』はいる! ほとんどの人はこんなオカルトに協力してくれないだろうが、俺の担任なら事情を話せば協力してくれるはずだ! そんな人なんだよ!! だから何もお前がやる必要はない!!」 「いいえ…………わたくしでないと意味ないのです…………わたくし、言いましたわよ…………」 「何をだよ!?」 上条は叫んだ。 対する白井は、鮮血に染めた表情で上条を見上げた。 その顔は笑っていた。 おそらくは美琴にさえも見せたことが無いであろう最高の笑顔だった。 「わたくしは……『お姉さまのいない世界は認めません』と……その世界には『今のわたくし』も含まれるのですよ…………」 ――――っ!? 上条は喉が干上がったと思った。 何と言葉をかけてやればいいのか分からなくなった。 「うふふ……心配ありません…………上条さんが……世界を元に戻すことができたときは……『今のわたくし』は消えるのです…………元々、わたくしは……存在していないのです……存在しない者に…………気を病む必要はございませんわ…………」 魔法陣の鳴動が激しさを増す。 魔法陣から放たれた光が上条当麻と白井黒子を包み込む。 白井から飛び散る深紅の奔流も激しさを増していく。 それでも白井黒子は呪を紡ぐのを止めない。 自身の肉体がどうなろうとも止めるつもりなどない。 上条当麻の右手はサークルの外だ。 ありとあらゆる『異能の力』を無効化する『幻想殺し』はインデックスの予想通り、『上条の意識』に対して行使される『異能の力』には反応しなかった。 サークルに触れない限り、儀式が破壊されないことを証明した。 「ダメだ白井! それでもお前はここにいるんだ!!」 目の前で苦しんでいる人を見捨てられない上条当麻の性が。 血まみれになり、息も絶え絶えで、全身が軋んでいる音さえ聞こえてくるような白井の身体を直視させられて、上条はこの儀式はやらせてはならない、そう強く思った。 だから、白井の言葉を無視して右手を円の中へと入れようとした。 しかし、白井がそれを拒む。 左手に上条の右手首下辺りを強く握らせ、強引に外へと押し出した。 上条は右手をなんとか白井の左手を振りほどこうとするが白井の左手はびくともしない。 「無駄……ですわ……こう見えてもわたくし…………風紀委員ですの…………暴漢を抑え込むための鍛錬を積んでおりますわ…………どういう風に力を入れれば相手を制圧できるかを…………熟知しておりますのよ…………」 「白井!!」 「上条さん…………本当に……わたくしのことを気遣ってくださるのであれば…………この儀式を受け入れてくださいまし……そして…………必ずお姉さまをお救いくださいまし…………」 再び、上条の瞳を覗き込んでくる白井の目に上条は押し黙るしかできなかった。 「大丈夫ですわ……上条さんがお姉さまを救い出してくだされば…………元に戻った世界ならば…………お姉さまのすぐ傍に『わたくし』は居ますから…………」 再び、白井は最高の笑顔を向けた。 「…………我ninsたgい……knmのw……kntnr時htmtbk給e…………」 白井黒子が何か聞き取れない言葉を、聞いたこともない言語を全て舌に乗せた瞬間、上条の視界が白井の表情を四角く切り抜いて、それが闇に呑まれるように遠くなっていくのを感じた。 「しらいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 上条は『右手』を伸ばす。 そう『右手』を伸ばす。 しかし、その右手は遠ざかる白井黒子を捕まえることはできなかった。 上条当麻に見えたものは、 全身を深紅に染めた白井黒子が静かに崩れ落ちていく姿だった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第5章 「誰だテメエ?」 一方通行は面白く無さそうな顔をした。 無理もない。上条の知っている世界と違い、この世界では一方通行と上条当麻には何一つ接点はないからだ。 あの実験以外で一方通行と上条当麻が出会うことはないのだ。 「オイ、ありゃあ、お前の男か?」 上条に一度目をやってから、すぐに興味をなくして、まだ茫然と立ち尽くしている白井に声をかける。 もっとも、今の白井は完膚なきまでに打ちのめされて答えることなどできないのだが。 「はぁ……やれやれだ。で、何すンの? まさかとは思うが、その女の敵討ちでもしようってンのか?」 「…………それだけじゃねえ」 「あん?」 「白井の仇討ちってだけじゃねえ! てめえ! 八月二十一日に御坂を殺したって本当か!!」 「みさか? ああ、そういやオリジナルも『みさか』って名前だったな。で、それがどうした?」 「『どうした?』…………だと…………?」 上条の脳が一気に沸騰しそうになった。 ギュッと、爪が喰い込むほど右手を握り締めて、 「ふざけんじゃねえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」 雄叫びをあげて、上条が右手を振りかぶってダッシュ!! 「何だァ? その拳に何か肉体強化の能力でもかけてンの? くっだらねェ」 しかし、一方通行は避ける気すらなかった。 無理もない。 白井黒子のようにベクトル気流が視えるならまだしも、こんな頭に血を上らせて突撃してくるような奴が高位能力者のわけがない、としか一方通行は思わなかった。 本来であれば反射一発で終わり。 肉体強化された拳だろうが、その程度で一方通行を捉えることはできない。 あくまで『本来であれば』。 バキィッ!! 「がっ!?」 一方通行からすれば、何でもない右ストレートが自身の顔面を捉えたのだ。 その勢いのまま、バランスを崩して横に倒れ込む。 しかし即座に片膝付いて、起き上がり、 「な、何だ?」 当然、何が起こったか分からない。 驚いて、その相手を見上げるだけだ。 (俺に拳をあてた!? あり得ねエ!! 反射は切ってなかったンだぜ!!) さらに追撃をかける上条。 (チッ! 何か知らねェが、とにかくコイツの能力を見極めねェと……) ぐらっ…… 「なっ!? 今の一発で足にきてやがンのか!?」 悲鳴を上げると同時に、今度は腹部に衝撃!! 「うぐァ!! また!?」 そのまま仰向けに倒れて何度かもんどりうつ一方通行。 「ゲホゲホゲホゲホ」 四つん這いになって腹部を抑えて何度か息を吐く。 「それが『痛み』だ」 「――――!!」 見上げる一方通行のすぐ傍に上条当麻が憤怒の表情で、ツンツン頭が文字通り怒髪天を突いて佇んでいた。 「テメエは『最強』ゆえに『ケンカ』慣れしてねえ。打たれ弱い欠点がある。『能力が効かない相手』だとその弱点がもろに出てしまうんだ」 「くそが!!」 ズバリと指摘されて一方通行が怒りに任せて立ち上がる。立ち上がる時に、足を思い切り踏み込んでベクトル操作で砂利を巻き上げる!! しかし、上条はダッキングして、砂利の猛威を低姿勢でかわし、突進!! 再び右ストレートが一方通行を吹き飛ばす!! (チッ……どういう原理か知らねえが、コイツに『普通』の『ベクトル操作』は通用しねェ――――なら――――) 一方通行は前かがみに、右手を地面に付けて滑らせて、後ろ向きに吹き飛ばされながら、しかし態勢は崩さず、 そのまま、髪の影から瞳を覗かせて、 一瞬、その瞳孔が大きく見開いた!! 瞬間、上条当麻の腹部に衝撃!! 「うぐぇ…………!?」 胃の中のものがすべて逆流しそうなほど強烈なものだった。 「あァ…………痛かった…………」 すぐ傍に一方通行が無造作に立っていた。 「な、何…………?」 「倍返しだ、オラァ!!」 「くっ!」 一方通行が叫んでパンチを繰り出そうとして、しかし上条もまた迎撃のため、防御態勢を取った。 が――――!! 「がはっ!!」 次の瞬間、顔面に二発、あごに一発の激痛を感じたと思った瞬間、後方へと吹き飛ばされていた!! そのまま地面に背中を痛打!! 「テメエは三発だから本来なら六発が倍返しなんだろうが、特別サービスだ。失せろ、テメエには俺が相手する価値すらねエ」 言って、一方通行は踵を返す。 そんな一方通行の背中を、地面を舐めながら上条はぼんやりとダメージが残っているので痙攣しながら見つめていた。 (な、何だ…………いくら何でも一方通行の動き、早過ぎんだろ……? 気付いたらやられているってどんなベクトル操作だよ……俺の『幻想殺し』が通じないほどの速さってわけか?) それでも上条は立ち上がった。 ダメージが残る体を無理矢理立ち上がらせた。 「まだやンのか?」 肩越しにギラリと睨みつけてくる一方通行。 「…………」 「はン、この不感症が……今すぐ楽にしてやンよ!」 叫んで、一方通行が地を蹴った! 猛スピードで上条に突撃してくる!! (…………とりあえず、捕まえる!) 心の中だけで言って、上条は『右手』を開いた。繰り出されてきた一方通行の左ストレートを捕えて、という戦術だ。 (ふん……なるほど……その右手か……まァ、どうでもいいがな……) 一方通行が看破した。上条の唯一の武器という名の弱点を一方通行に悟られてしまったのだ。 これで、上条当麻の勝機は0となった。 がしっ! 一方通行の左が上条の右手に包み込まれる。 (掴んだ! これなら………んなっ!!) しかし、次の瞬間、上条の顔面は一方通行の『左ストレート』をまともに喰らっていた!! そのまま、地面に倒れ伏す!! 「ったく、手間取らせんじゃねェ」 吐き捨てて、一方通行は左腕をぐりぐり回してから、立ち去ろうとする。 上条は無様に地面に大の字になって横たわっていた。 もう、一方通行の言葉は耳に入っていなかった。 それ以上に、信じられないことが起こったからだ。 どんな力であっても『異能の力』であれば全て『無効』にする右手、『幻想殺し』が一方通行の『ベクトル操作』を無効化できなかったのである。 あり得ない。 これまでの経験則からいっても、物理攻撃ではない『異能の力』が上条の右手を凌駕するなど、こと科学分野においてはあり得なかったのだ。 一体、何が起こっているのかはどんなに考えても分からなかった。 (…………そういや、さっき『レベル6』って言ってたな…………けど『レベル6』つったって『異能の力』のはずだ…………なのに何で…………) 上条には分からない。 (レベル6…………絶対能力…………だからって、この右手が通じないなんて………レベル6ってのはそこまで凄いのか……いや、まさか…………) どう考えても分からない。 答えはまったく見えない。 いったい、一方通行は『何』を『ベクトル操作』したのかがまったく分からない。 いったい、『右手』が作用しない『ベクトル操作』とは何なのか、まったく解らない。 (……待てよ……『レベル6』だって…………) どれだけ考えても『幻想殺し』が通じなかった理由が分からない上条の脳が、 どれだけ考えても想像つかない一方通行の『ベクトル操作』が、 まったく別の方向にシフトした。 今の今まで。 御坂美琴を殺した一方通行。 レベル5の白井黒子の力。 突然、起こったバトルで頭に血が上りまくって完全に忘却の彼方に追いやっていった『この世界』のことにシフトしたのだ。 しかも、これまでまったく見えなかった突破口を伴って。 これはもしかしたら、もやもやしていた気分を暴れたことですっきりさせることができたからかもしれない。 ウジウジ悩んでいたことが暴れたことで吹き飛んだからかもしれない。 結果、脳の奥底に眠っていた記憶が呼び起こされた。 上条当麻は見つけた。 上条当麻は思い出した。 上条の知る世界の方が『真実』であることを証明できる方法を。 今、この世界は何者かによって歪められたものだという決定的な証拠を。 しかし、そのためには白井黒子ではなく、この一方通行を信じさせなければならなかったのだ。 キーパーソンは御坂美琴の一番近くにいた白井黒子ではなく、 『八月二十一日』という日に『御坂美琴と関わらざるを得なかった』一方通行こそがキーパーソンだったのだ。 なぜなら一方通行だけが、変わってしまったこの世界の中で唯一人、上条当麻が知る世界と同じ過去を、正確には、同じ情報を持っている男だからだ。 上条は立ちあがって力強く吼えた。 「一方通行!!」 「何だ? まだ何か用か?」 一方通行が面倒臭そうに肩越しに振り返る。 もう、俺と関わるな、まだ俺の周りをうろちょろするつもりなら容赦しねエ―――― そう言っている背筋がぞっとするような視線に射抜かれたが、上条は怯まない。 すべての異能の力を無力化する『幻想殺し』でさえ通じなかった『絶対能力者』の『最後通告』だろうと怯むわけにはいかない。 「量産異能者・妹達におけるレベル5・一方通行の絶対能力への進化法!!」 上条が告げた言葉に一方通行は先ほどまでの無関心な表情が一変してバッと振り向いた。 いや、振り向かざるを得なかった。 「学園都市には七人のレベル5がいるが、樹形図の設計者を用いて予測演算した結果、まだ見ぬレベル6に到達できる者は一名のみで、その個体を『一方通行』と言う!!」 この実験のことを知っているのは、今は当事者である一方通行だけだ。この実験を知った御坂美琴はすでに殺されてしまっている。 そして、この実験に関わった研究者及び研究施設、書類のすべては実験終了後、何者かが闇に葬った。 「――――実戦における能力の使用が成長を促す!!」 理由は言うまでも無い。 口封じ。 実験の成功を外に、もっと言えば魔術サイドに漏れるようなことがあれば、それは科学サイドと魔術サイドの全面戦争に突入することを意味する。 「一二八種類の戦場を用意し、一二八回超電磁砲を殺害すれば、一方通行はレベル6へと進化することが判明した!!」 遠い未来ならそれも良いだろう。しかし、今はまだ科学サイドが絶対的有利ではなく、むしろ互角、共倒れになるかもしれない現状では戦争を仕掛けるべきではないのだ。 「だが、レベル5である超電磁砲を一二八人も用意することはできない!! そこで超電磁砲の量産計画『妹達』に着目!!」 レベル5は魔術サイドの、無類の力を誇る『聖人』に匹敵すると言われている。 それが誇張かどうかは何とも言えないが、仮に匹敵するとしても、学園都市側のレベル5は七人であり、魔術サイドの聖人の数、二十人には遠く及ばない。 科学サイドはその穴埋めとして、暗闇の五月計画や5ナンバーズという機械の力で補おうとしたが、それでも単純に数の上でも科学サイドは二三〇万人であり、億の単位を誇る魔術サイドにはまったく届かない。 「妹達を用いて、再演算したところ、二万種類の戦場を用意して、二万人の妹達を殺害することで同じ結果が得られることが分かった!!」 しかし、レベル6の誕生は科学サイドを圧倒的に有利にする駒となる。ただ、残念ながら現在いるレベル6は一方通行ただ一人。しかも従順に言うことを聞くわけでもなく、また聞かせるための手段も無い今はまだ、魔術サイドに知られるわけにはいかなかった。 だからこそ、実験に関わったすべてを闇に葬ったのである。 上条の口上が終了し、この場に沈黙が訪れる。 重苦しい沈黙が。 「か、上条さん……あなたは何を…………?」 白井が戸惑いながら問いかけた瞬間、 「――――!!」 上条は力いっぱい胸倉を掴まれた。 上条は力いっぱいねじり上げられた。 それでも上条は怯まない。その相手を真っ直ぐ見つめる真摯で厳しい視線は崩さない。 相手はもちろん、 「テメエ……今の話、誰から聞いた? いや、もう俺以外知ってる奴がいるわけがねエ…………仮に知っているとしたらそれは統括理事会の奴らだけだ…………しかし奴らなら、いくら身内にだろうと漏らすわけがねエ…………なら、テメエはいったい…………」 一方通行が睨んでいた。 穿られたくない過去を穿られた怒りの瞳で睨みつけていた。 それを上条は真正面から受け止めて、 「御坂の部屋でレポートを見つけた」 上条は毅然と答えた。 「八月二十一日の夜、俺は御坂の部屋を訪ねた。そこで見つけた」 「なン、だと…………?」 「あいつは最強の電撃使いで能力を応用した使い方に関してはレベル5の中でもピカ一だ。その力が一般用端末からでも学園都市トップシークレット情報を引き出したんだろう」 「何を馬鹿なことを! あなたは八月二十一日の夜にわたくしどもの部屋を訪ねてなどいないではありませんか!?」 今度は白井が声を上げる番だった。あまりに唐突で、しかも信じられないような話を聞かされて、思わず『この世界の事実』を叫んでしまったのだ。 上条は白井にゆっくり視線を移して、 「なら確かめてみないか? 俺の言っていることが正しいかどうか。さっき、お前、言ったよな。俺が今の現実を否定しているようだって。そうさ。俺は今の現実を信じられないでいる。俺が知っている現実は、俺がいて、インデックスがいて、お前も御坂妹も一方通行も、土御門、青髪ピアス、吹寄、姫神たちクラスメイトも、小萌先生も。 そして――――その中には御坂美琴だっている!」 「何ですって!?」 「それが俺の知っている世界だ! この世界は何者かによって歪められた偽りの世界だ!!」 上条の真剣極まる咆哮を聞いて、 「な、何を仰いますか………お姉さまはそのようなレポートなど持っていませんわ…………もし、そんなものがありましたらわたくしがとっくに気付いていますわよ…………一度、お姉さまの荷物をすべて整理したのですから…………タンスの中から机の中まで全て…………」 上条から目を逸らし、伏せ目になって呟く白井。 「ぬいぐるみの中は?」 「え…………?」 「お前らの部屋にあった、御坂のでかいくまのぬいぐるみだ。その中は見たのか?」 「そ、それは…………」 「見たのか見ていないのか」 「み、見ておりませんわ! だって、アレは単なるぬいぐるみですもの…………そんなものの中に…………って、ハッ!」 白井は思い出した。 あの当時、美琴が殺されてしまったあの時分、美琴がやけにあのぬいぐるみに構っていたことを。 その時は、単に何か深い悩みがあって、何かにすがりたいがための行動としか思わなかったのだが―――― 「だったら行ってみようぜ。あのぬいぐるみの中に俺が言ったモノが入っていれば、俺の言ったことが正しい証明になる。俺の知っている世界だと、八月二十一日に俺が持ち出したんだが、この世界なら、お前が知らない以上、御坂以外に誰も知っているわけがない。まだあるはずだ」 上条のどこか自信に溢れた言葉を聞いて、 「わ、分かりましたわ…………参りましょう…………」 それでもまだ白井黒子の声はまだ震えていた。 「オイ…………今の話、本当か…………?」 「そうか。お前も来るか?」 「上条さん!?」 「仕方ないだろ。変わってしまった世界の中で俺と同じことを知っている唯一の奴なんだ。コイツだって真偽を確かめたいに決まってんだろ」 「まァ、な…………」 「むぅ…………仕方ありませんわ…………それでは参りましょう…………」 言って、踵を返す白井。 その後ろを上条当麻と一方通行は無言で付いていく。 「一方通行!? とミサカは驚嘆します!!」 珍しく、本当に珍しく、御坂妹は自室のドアを開けて、そこにいる人物を見とめて、叫び声を上げた。 「オイ…………クローンがいるなんざ聞いてなかったんだが…………?」 「お教えする義務はございませんわ」 「…………すまん、そういやそうだった」 こちらも珍しく顔を引きつらせて声を漏らす一方通行。 どうやらレベル6への畏怖は先ほどの上条の衝撃の発言に喰われてしまったらしい。一方通行への対応が素に戻っていた。 もっとも、白井黒子はそんなことはどうでも良くて。逆に、上条は御坂妹を気遣うのを忘れてしまっていて。 「さて、上条さん。お望みのものはそちらですわ」 部屋の中央まで進んだところで、白井は部屋の片隅に鎮座させてある大きなクマのぬいぐるみを指差した。 頭を垂れて、どこか無造作に足を投げ出して、糸の切れた人形のように座っている姿が愛らしさとともに侘しさを醸し出していた。 「一応、聞いておくが、こいつは一回でもこの部屋から出たことはないよな?」 「さすがにわたくしや妹さんがいないときは分かりませんが、他人の部屋に侵入できるほど、ここのセキュリティは甘くありませんし大丈夫ですの」 「よし、なら…………」 上条がクマのぬいぐるみを持って、それをベッドの上に置く。 どちらのベッドかはとりあえずどうでもいい。 単に見やすい高さに置いた、ただそれだけだ。 「間近で見ると結構ボロボロですね、でも暖かさを感じます、とミサカはお姉さまの遺品に切なる思いを抱きます」 「小さい頃から持っていて、学園都市に来る時に唯一手放せなかったもの、と仰っておられましたわ」 「だったら、クローンにくれてやったらどうだ? 同じ遺伝子ならコイツも気にいるんじゃねエの?」 「あなたにしては良いアイディアですわね」 「では、本日からミサカは、このクマに染みついたお姉さまのぬくもりを感じて寝ることにします、とミサカはどこか高揚して喜びを表します」 などと、後ろでそんな会話を交わしている3人の声を聞きながら、上条はゴツイ南京錠が付いている太い首輪を指差して、 「なあ、一方通行、コイツを壊せないか?」 「あン? いいのか? オリジナルの遺品なンだろ?」 「首輪くらいなら構いません、とミサカはすでに己の所有物のように扱います。ですが、他の部分は決して傷つけないよう配慮してください、とミサカはあなたのスペックの高さを危惧します」 「だ、そうだ」 「…………まぁ、何でもいいが…………」 どこか釈然としない態度を見せて、一方通行は首輪だけを吹き飛ばした。 露わになったぬいぐるみの首には横一文字にファスナーが走っていた。 しかも、そのファスナーは一部が開いており、そこから『用紙』の角が顔を覗かせていた。 瞬間、先ほどまでの呑気な雰囲気もどこへやら。 部屋の中が暗転して一閃の戦慄が走り、場の空気は凍りついた。 そんな中、上条は静かに、やや震える手を伸ばす。 一方通行と白井黒子はその後ろで息を飲んだ。 上条の手が用紙に触れる。摘まみ引っ張り出して、最初のタイトルだけに目をやって、 無言で白井と一方通行に差し出した。 受け取ったのは白井黒子。 その白井を中心に、どこか緊張の面持ちな一方通行と、何事かと覗きこむ御坂妹。 はたしてそこに書いてあった中身は―――― 「どうやら…………上条さんが仰っていた話が真実のようですわね…………」 読み終えて。 一度、この愕然を落ち着かせるために一息ついてから。 まっすぐ上条当麻を見据えて。 まだ信じられないような表情を浮かべてはいたが。 それでも、白井黒子は今、この世界が歪められた世界であることを肯定した。 それは一方通行も同じだった。 ただ一人、まだ何も知らされていない御坂妹。 「いったい何のお話ですか? とミサカはこのレポートの存在に戦慄を感じながらお三方に問いかけます」 普段は感情に乏しい彼女でさえも、明らかに表情を強張らせて、そう問いかけるしかできなかった。 【次回予告】 白井黒子「上条さんの話からしますと何もかもが変わってしまったのは八月二十一日からのようですの」 上条当麻「本来の史実であれば俺が一方通行を倒して御坂は死なずに済んだ。あの場に『俺』がいなかったなら、俺が代わりに行くしかねえ」 インデックス「過去に遡る魔術? あるよ」 御坂妹「今、この世界には一万人近くのミサカが存在してミサカネットワークで繋がっています、とミサカは機密事項を暴露します」 インデックス「でも、とうまの右手をどうやって封じるの?」 一方通行「その右手が作用すンのが『異能の力』に対してであって、『自然法則の力』には作用しねえならやりようはある。一か八かだがな」 白井黒子「わたくしも行きますわ。あの当時のわたくしではお姉さまのお力になれませんでしたが、今のわたくしなら」 一方通行「俺が『レベル6』に目覚める前に倒せ」 御坂妹「必ず、お姉さまをお救いください、とミサカは切実に訴えます。また、お姉さまとアイスを食べて、紅茶を飲んで、子猫を愛でたいと、ミサカは…………」 一方通行「必ず、世界を元に戻せ。でねえと承知しねエぜ……」 インデックス「とうま……必ず『帰って来て』ね……」 上条当麻「待ってろ御坂。必ず、俺がもう一度助け出してやる」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失 第4章 (一方通行だと!? 御坂の仇だと!?) 白井の声を聞いて、上条は白井の元へと駆け出した。 (うすうす分かっちゃいたが、やっぱり八月二十一日に御坂を殺したのはコイツだったのか。あの気分が悪くなる実験に加担していた当時のコイツだったんだな!!) ギュッと右拳を握って。 全身を怒りに震わせて。 しかし、上条はどうしてそんな気持ちを抱くのかが分からなかった。 もっとも、そんな上条に一方通行は目を向ける様子もない。 「上条さん! 手出し無用ですわ!」 が、白井黒子は振り向きもせず、上条の接近に気付いていた。 「白井!?」 「上条さん――――先ほどのあなたの言葉を信じるか信じないかは別にして、わたくしにとってはたった一つだけ、確実な現実がありますの。それは――――」 突然、白井の目の前に金串が現れる。 それを握って白井は一方通行に先端を突き付けた。 「この一方通行が八月二十一日の夜、お姉さまを殺した! それは紛れもない現実ですの!!」 白井の咆哮と同時に町中ということで、出来ていたギャラリーという野次馬にどよめきが走り騒然となった。 「ですから、わたくしはこの男を倒さねばならないのですわ! お姉さまの仇――――絶対に許すわけにはいきませんの!!」 「オイ、周りのギャラリーども、死にたくなかったら、この場から消えた方がいいぞ。コイツは見境がねエ奴だ。巻き込まれたって知らンぜ?」 勇ましい白井の言葉を聞いても、一方通行は全く動じない。 凶悪な笑いのまま、わざと白井の言葉を聞き流して、わざわざ周りに避難勧告を与えていた。 刹那、人だかりは悲鳴を上げてほぼ全員が逃げ出すようにこの場から離れていった。 ほぼ、と言った理由は単純。 上条当麻だけが、この場を離れなかったからだ。 「ふっ――――わたくしにわざわざ戦いやすい環境を作ってくださいますとは、ここは感謝の意を表した方がよろしくて?」 「ったく、毎回毎回、俺と顔合わせる度に所構わず人殺し呼ばわりしやがって…………おかげで、テメエ以外は俺に近寄って来ねえンだが、どうしてくれンだ?」 「はん! 元から御友人がいない孤独なあなたが何を仰いますの!」 「違えねェ…………」 白井の挑発的な嘲笑を、あっさり認める一方通行。 しかしその表情にはまだ笑みが浮かんでいた。 だからどうした、そういった類の笑みだ。 「じゃ、始めっか――――ええっと、何戦目だっけか? まァ、俺の全戦全勝ってトコは揺るがねえが」 ニヤニヤと、どこか好事家のような笑みを浮かべて、しかし前髪の影を濃くした瞳はどこまでも怖さを醸し出して。 一方通行は、まるで抱擁を求めるかの如く、両手を柔らかく広げ、両腕も広げた。 「お黙りなさい! 今日こそはわたくしが勝たせていただきますわ!」 白井が金串を構えてから吼えて姿をかき消す。 それが――――戦闘開始の合図だった。 白井は宙に現れた。 同時に八本の金串が一方通行の前後左右を囲い込んだ形で出現して停止した。 「を? 何だテメエ、念動力でも身に付けたのか? そりゃスゲエな。能力は一人一つだぜ。学園都市初のマルチスキル誕生かァ?」 もちろんそんなわけはない。 能力は一人一つ。そのルールは覆らない。 タネが分かるからこそ一方通行はからかっているだけである。 「その余裕、今日こそは恐怖に変えさせていただきますの!!」 白井が叫ぶと、金串は一斉に一方通行へと襲い掛かる! 「おお、そうだ一度言ってみたかったんだが、ここが言うべき場面か?」 などと一方通行が余裕ぶっこいてから、 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」 どこかの金髪吸血鬼のようなセリフを叫ぶ一方通行! ぎらっと一瞬、一方通行の瞳孔が大きくなった、と感じた瞬間、 金串はすべて停止した。そして即座に、切っ先を白井黒子に変更して舞い上がる!! 同時に白井は姿を消した!! 追尾でもかけたかのように金串も消えた!! 「あン?」 いぶかしげな声を漏らす一方通行だが、 「ぬ?」 首のあたりに妙な感覚! 金串がそこに出現し、一方通行を基軸に円を描いていた。よく見れば、銀の光沢を放つ鋼線が一方通行の首に巻き付いている! 「へェ――――面白エ技使うじゃねェか――――」 もっとも、基本『反射』に設定してある一方通行には通じない。 一方通行の首の前に、鋼線の方がはじけ飛ぶ!! 「視覚認識されねエくらい細い鋼のピアノ線で金串をぶら下げて置いて、俺がベクトル操作するのを見越した上で金串をもう一回テレポートさせてのチョーク攻撃か。テメエは触れたものじゃねえとテレポートさせられねえわけだが、ピアノ線にくくりつけてりゃ連続テレポートで金串を遠距離操作できるわけだ」 からんと、一方通行の足元に金串が落ちる。 同時に、距離を置いて白井は一方通行と正対した。 「にしてもお前、スゲエことやりやがったな。空間移動を利用して、三次元じゃなくて十一次元の方に身を置く時間の方を長くできて、その中を移動できるなんざァ、大した成長だァ。おかげで俺はお前がどこから出てくるか分からねェ。お前だけじゃなくてピアノ線付き金串もだがな」 「こう見えても、わたくし、レベル5に昇格しましたものでして」 「ほう、そうかい。俺が稽古付けてやった成果か?」 「不本意ながら!!」 言って、白井は再び姿をくらます。 しかもすぐには出てこない。人の目には捉えられない十一次元に身を置いているのだ! 「クックックックック……確かにスゲエ技なんだが、『弱点』が一つ…………」 白井黒子の姿が見えない一方通行なのだが、その余裕はまったく崩れない。 足元にある小石を一つ拾って、掌でぽんぽんと弄びながら、静かにぐるりと辺りを見回して、 「そこだ」 「くっ!」 小石を投げ付けると、そこには白井が出現していて、彼女の肩に小石が直撃!! 片膝を付いて、肩を押さえながら白井黒子は悔恨の表情を浮かべていた。 「残念だが、俺からすればお前がどこから出てくるかは分からねエけど、お前の方も十一次元上で動いちまったら、どこに出ていいか分からねエ欠点があンだよ、その技はな。つまり『瞬間移動』してねエから、出る場所の確認のために、一回どうしても三次元を覗かなきゃなンねえ。まさか、下に何もねえトコに出るわけにいかねェし、俺が視界にいないところに出るわけにもいかねェかンな。つまり、その瞬間を見つけりゃ攻撃しやすいってわけだ。さらに言えば、俺はベクトルを操る能力者。『空間』も含めて周囲の『ベクトル気流』を読むのは長けてンだ」 どこか嘲るような一方通行の説明を聞いて、 しかし、白井黒子は肩を押さえたまま、立ち上がり、再び金串を両手に一本ずつ持ち十文字に構える。 「言っておきますけど」 「ン?」 「わたくしがレベル5に昇格したのは何も十一次元に身を置ける『空間移動』を身に付けたからではありませんわよ!」 意気軒昂に吼えて、白井は左手の金串を、忍者が手裏剣を投げるときのようなフォームで、一方通行めがけて投擲! 「はァ? 正面から投げつけてくるなンざ、意味ねエぜ……と言いたいトコだが、ンな無意味なことするわねエわな……さてさて、どンな手だ?」 どこか面白そうなものを見る笑顔で、一方通行は己に向かってくる金串をあっさり反射させて、しかし、明後日の方向へと飛ばす。 白井の方向へは視界を広げるために、 しかし、白井はもう一本、今度は右手に構えた金串を投げつけたフィニッシュポーズで佇んでいただけだった。 「オイオイ。単なる一本目はおとりって作戦かァ? 期待してたンだ……が……ッ!!」 なんと! その金串が、一方通行のベクトル操作をものともせず、一方通行へと向かってくる軌跡を変えない! 「チッ!!」 舌打ちして、足の裏のベクトルを操作! 猛スピードで横に飛び、金串をかわす! がつっと音を立ててその金串は力強く地面に突き刺さった。 避けてから、 「テメエ…………まさか…………」 「ふふっ、その通りですわ。あなたのように『操作』はできなくても、わたくしも目を凝らせば、ではありますが、『空間』を含めた周囲の『ベクトル気流』が『視えます』の。十一次元に身を置くためには三次元上の『ベクトルの流れ』を把握しないといけませんのでね。つまり、あなたが『ベクトル操作した直後』であれば、そのベクトル気流を見極めて、その間隙を縫うことができますの」 白井が不敵な笑みを向けて、さらに二本、右手の人差指、中指、薬指に挟んで構え直す。 「面白エよ、お前――――最高に面白エぞォォォォォォ!!」 なんと、一方通行が地を蹴った! 一方通行から攻撃を仕掛けるということだ!! 猛スピードで白井に肉薄! 「ケケッ! 『目を凝らせば』ってことは距離が短ければ短いほど、テメエにベクトル気流を見極める時間はなくなるってこった!」 「はん! そちらこそ、そんな単純な攻撃がわたくしに通用するとでも!!」 白井の姿が掻き消える!! 次の瞬間、白井が出現したのは、間合いを置いた上での一方通行の背後!! 「いただきですわ!!」 姿を見せると同時に、一本金串を投擲!! 「おっと、すっかり忘れてたぜ…………テメエ、『瞬間移動』ができなくなったわけじゃなかったか…………」 反射というベクトル操作をすれば、その瞬間に白井の眼がベクトル気流を捉える! ほとんど間髪いれず投げられるであろう金串を避ける手段はない! ゆえに一方通行は――― ダッシュしたその姿勢のまま、『伏せた』! 当然、金串は一方通行の頭上を通過――――せずに真下の一方通行めがけて軌道を変える!! 「チッ! そういや、ピアノ線を巻きつけてあったンだったか!」 突き刺さる寸前、それでも一方通行は無理矢理横に体を回転させてそれを避ける! さすがに、今度こそ金串は地面に突き刺さった。 が、 「あなたが起き上がる前に決着を付けさせていただきますわ!!」 吼えた白井が合わせて『九本』の金串を、突き刺さった分も含めて、一方通行の頭上を中心に前後左右八方向に出現させる!! 残る一本は白井が構えた!! 「その体勢から金串をかわすにはベクトル操作しかありませんわよ! しかし、その瞬間、わたくしの眼は『ベクトル気流』を捉えますの!!」 「く、クククククク…………大したもンだ、いやまったく…………さすがはレベル5――――もしかして誕生したてのお前が『レベル5』の第一位かもなァ………」 白井が叫ぶと同時に金串九本が一方通行めがけて解き放たれた! 「わたくしの勝ちですわ!!」 白井黒子が勝利宣言! 確かに、『今までの一方通行』であれば『勝てた』かもしれない!! しかし―――― 「フッ――――テメエのレベル5昇進祝いに見せてやンぜ――――『レベル6』を――――!!」 一方通行が声を上げた! 再び、ベクトル操作するときのように瞳孔が一瞬、大きく見開いて―――― 「――――!!」 白井黒子は息を呑んだ。 一瞬、喉が干上がったとさえ思った。 全身がいきなり永久氷壁に閉じ込められたかのように凍りついた。 「チェックメイトォ…………」 首筋に突き付けられた鋭利な感覚と、耳元で聞こえてきた寒気のする声にまったく身動きできなかった。 「視えたか? 気付いたか? これが『絶対能力【レベル6】』の『ベクトル操作』だ…………」 いつの間にか、白井の持っていた金串は背後に出現した一方通行の右手に握られ、彼女の首筋に突き付けられていたのだ。 「惜しかったなァ……レベル5モードの俺になら勝てたかもしンねェが…………」 「どうして……わたくしの視界が捉えられないほどのベクトル操作とは…………」 しかし、一方通行は次の瞬間、金串を前に放り投げて殺気さえも消す。 「残念だが今のお前じゃあ、超電磁砲の仇を討つことはできねェよ」 「くっ…………」 「だが、喜べ……俺が『絶対能力【レベル6】』の『ベクトル操作』を使ったのはテメエが二人目だ」 「二人、目…………?」 「察しくらい付くだろ? 一人目は超電磁砲だ。なンせ、俺が『レベル6』に目覚めたのは超電磁砲が相手のときだったからな」 「――――!!」 「それと悪ィが、テメエにゃ、まだ俺に殺される価値はねエ。もっと鍛え直してきやがれ。今よりももっと強く。そン時に遠慮なくぶっ殺してやンよ」 呟き、一方通行は踵を返して、白井に背を向けて、ひらひら手を振りながら立ち去ろうとする。 白井黒子は――――動けなかった。 己の力の『無力さ』に打ちひしがれたのだ。垣間見た『レベル6』に慄いたのだ。 以前、一方通行は御坂美琴と御坂妹に言った。 挑戦しようとする気すら湧かない絶対的な力を手に入れる、と。 正に、その通りだった。 白井黒子の戦意が完全に木っ端微塵に砕け散ってしまうほど、『レベル6』の一方通行は歯向かおうとすることすら思ってはならないことを『思い知らされた』。 一方通行の言った『殺される価値すらない』は誇張でも驕りでもなく純然たる事実なのだ。 「待ちやがれ!!」 しかし、世の中にはそれを感じない不感症な馬鹿もいる。 圧倒的で不可解な力を見せつけられても怯まない馬鹿がいる。 一つのことに頭が支配されると『相手の強さ』は度外視され、己の信念のみで動く馬鹿が。 一応は、白井黒子の顔を立てて、黙って見ているつもりだった馬鹿が。 なんだか一方通行を押しているようだったので、手を出すつもりはなかった馬鹿が。 白井黒子の敗北を知り、白井の絶望感と己の怒りがシンクロしたのか。 御坂美琴を殺した、という怒りも相まって、己の体を突き動かしたと言っても過言ではなかった。 その馬鹿の名前は『上条当麻』という。 かつて、ただ一人、『人の身』で一方通行に勝った男である。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/御坂美琴の消失